HOME > 受託サービス・特注品 > 遺伝子工学・植物工学 > ウイルスベクター作製 > AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター作製受託サービス

AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター作製受託サービス

掲載日情報:2023/05/11 現在Webページ番号:65971

アデノ随伴ウイルス(AAV)は、その高い遺伝子導入効率と安全性から遺伝子治療に有用です。
BPS Bioscience社では、お客様のご要望に応じて、目的の遺伝子を導入するためのカスタムAAVコンストラクトを設計し、Ready-to-useのウイルス粒子を製造します。

BPS Bioscience社のAAVベクター
  • AAVレポーターベクターを用いた遺伝子導入の最適化
  • AAV-SaCas9 ベクターを用いたゲノム編集
  • 目的の遺伝子を形質導入(タンパク質発現)

アデノ随伴ウイルス(AAV)について

アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科ディペンドウイルス属(Dependoparvovirus)に分類される小型(直径20 nm程度)のウイルスで、アデノウイルス調製物の混入物質として発見されました。AAVはエンベロープを持たず、両端に末端逆位反復配列(ITR)を含む短い一本鎖DNAゲノムと正二十面体のカプシドで構成されています。

AAVの構造

AAVは自己増殖能がなく非病原性で、ヒトの病気との関連性はありません。野生型AAVは非常に低い頻度で宿主ゲノムに組み込まれることがありますが、この組み込みは主にヒト19番染色体上のAAVS1の「セーフ・ハーバー(safe harbor)」領域で行われます。
遺伝子治療目的で使用される組換えAAVは、ウイルスゲノムの代わりに目的の遺伝子(長さ≦5 kb)を送達するように設計されています。細胞内において、組換えAAVベクターはエピソームとして核内に維持され、非分裂細胞で最大6か月間、目的の遺伝子の発現を持続させることができます。 免疫原性が低く、挿入変異の誘発がないため、安心して臨床使用できるツールであり、様々なベクターが開発されています。 また、目的の遺伝子を動物に導入するのにも最適なベクターです。


目次に戻る

AAV血清型の指向性(tropism)

現在までに、ヒトおよびヒト以外の霊長類から11のAAV血清型(セロタイプ)が分離されています。これらの血清型のカプシドタンパク質は、細胞表面の受容体に対する結合親和性がそれぞれ異なっているため、特定の細胞型や組織に対して優先的に結合します。この指向性(tropism)を利用することで、特定の細胞型を標的にすることができます。さらに、遺伝子操作によって組織指向性と形質導入効率をさらに高めたAAV血清型が開発されています。そのひとつであるAAV-DJは、野生型の血清型と比較してin vitroおよびin vivoでの形質導入効率が優れており、その結果、幅広い種類の細胞に感染させることができます(下図参照)。

AAV血清型(セロタイプ)と組織特異性

AAV血清型(セロタイプ)と組織特異性

目次に戻る

AAVレポーターベクター作製受託サービス

レポータータンパク質は、AAV形質導入後の遺伝子発現を視覚化/定量化するのに最適です。
ルシフェラーゼ、ZsGreen、およびmCherryを含むAAVレポーターベクターは、内部コントロールとして使用することで、形質導入および実験条件を最適化したり、導入遺伝子の発現を経時的に追跡したりするのに使用できます。

BPS Bioscience社は、様々なAAVレポーターベクターを提供しており、ご希望のベクターがカタログ品にない場合は、カスタムでAAVベクターを構築します。
BPS Bioscience社のAAVレポーターベクターについてはこちらをご覧下さい。

目次に戻る

AAV-SaCas9ベクター作製受託サービス

Cas9は、sgRNA(single guide RNA)によって特定のDNA配列にリクルートされるエンドヌクレアーゼ酵素で、DNAに二本鎖切断を導入します。哺乳動物細胞では、この切断は非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え(HDR)によって修復されます。NHEJは多くの場合、切断部位でいくつかの塩基対の欠失または挿入を生じ、フレームシフトを誘発し、遺伝子の機能的不活性化を引き起こします。
SaCas9(Staphylococcus aureus CRISPR associated protein 9)は哺乳動物細胞で高い切断効率を示し、サイズが小さいためAAV へのパッケージングに最適なCas9です。AAV-SaCas9 ベクターは、遺伝子ノックアウトまたはノックイン用のSaCas9 過剰発現細胞株を産生するために使用されます。

BPS Bioscience社では、AAV-SaCas9ベクターをカタログ品としてご用意しているほか、AAV-SaCas9と目的遺伝子のsgRNAを同じビリオン(virion)にパッケージングするカスタムAAV受託サービスも承ります。
BPS Bioscience社のAAV-SaCas9ベクターについてはこちらをご覧下さい。

目次に戻る

使用例

AAV Reporter Vector使用例

AAVレポーターベクターは、形質導入後に強いシグナルを生成します。

AAVレポーターベクター導入後の強いシグナル

(A)ZsGreenを発現するAAV1粒子(AAV1-ZsGreen)のSDS-PAGE(4~20%)
レーン1:タンパク質分子量マーカー、レーン2:精製AAV1
(B)HEK293細胞へのAAV1-ZsGreenの形質導入
標的細胞におけるZsGreen発現を、形質導入の72時間後に蛍光顕微鏡で観察した。ZsGreenの発現は経時的に安定しており、形質導入の30日後も観察された。




AAV-ルシフェラーゼとAAV-mCherry によるHEK293細胞への形質導入

(A)HEK293細胞へのAAV-ルシフェラーゼの形質導入
ルシフェラーゼ活性は、形質導入の72時間後に BPS Bioscience社One-Step Luciferase Assay System(#60690)を使用して測定した。
(B)HEK293細胞へのAAV-mCherryの形質導入
mCherryの発現を、形質導入の72 時間後に蛍光顕微鏡で観察した。

CRISPR/Cas9 AAV Vector使用例

AAV-SaCas9 を使用した HEK293 細胞の形質導入

AAV-SaCas9 を使用した HEK293 細胞の形質導入
細胞にAAV-Cas9ビリオン(MOI:1×104)を形質導入した。形質導入の72 時間後、標的細胞のSaCas9 発現を抗HA.11抗体を用いたウエスタンブロットで検出した。ローディングコントロールとしてGAPDHを使用。

目次に戻る

ご注文方法/納期/価格

ご依頼の内容に応じてお見積します。詳細は、当社受託・特注品業務担当までお問い合わせ下さい。

目次に戻る

製品情報は掲載時点のものですが、価格表内の価格については随時最新のものに更新されます。お問い合わせいただくタイミングにより製品情報・価格などは変更されている場合があります。
表示価格に、消費税等は含まれていません。一部価格が予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承下さい。