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Twin-Strep-tagを用いた優れたタンパク質精製システム Strep-Tactin XT システム

掲載日情報:2023/10/31 現在Webページ番号:65668

IBA社のStrep-Tactin XT Superflow樹脂とTwin-Strep-tagを組み合わせた第3世代のStrep-tagシステムです。Twin-Strep-tagを目的タンパク質のN末端またはC末端に融合発現させることで、Strep-Tactin XT 4flow樹脂に結合します。その後ビオチン含有バッファーで溶出します。このStrep-Tactin XTとTwin-Strep-tagとの結合親和力は、共有結合に近く、低pMであることから、既存の親和性に基づく精製システムより優れています。タンパク質の精製やアッセイなどの広範な用途に利用できます。

Strep-Tactin XTとTwin-Strep-tag

Twin-Strep-tagとStrep-Tactin XTとの相互作用

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Strep-Tactin XTとStrep-Tactinの比較

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Twin-Strep-tag融合mCherryタンパク質をStrep-Tactin(旧製品)とStrep-Tactin XT(本製品)を用いて精製し、SDS-PAGEにより比較した

  • Lane 1:発現細胞ライセート
  • Lane 2:最後の洗浄時のフロースルー
  • Lane 3:溶出画分
  • M:マーカー
  • *:mCherryタンパク質が成熟する過程で自然に生じる分解産物

特長

  • 従来のStrep-Tactinによるタンパク質精製における高純度精製(>95%)、生理学的バッファーの使用、緩和な条件での溶出および樹脂再生可能などの特長はそのままで、より高い収率でタンパク質が得られます。
  • Twin-Strep-tagまたはStrept-tag Ⅱタグ付きタンパク質のビオチン添加による溶出後に、Buffer XT-R(#2-1045-250、下記Starter Kitにも付属)またはNaOHで樹脂の再生(3~5回)が可能です。
  • Strep-Tactin XT Systemを用いたタンパク質精製に必要な試薬がすべて含まれたStarter Kitがあります。

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適用

Strep-Tactin XT Systemは、従来のタンパク質の他、以下のようなタンパク質に用いることが可能です。

  • メタロプロテイン
  • 膜タンパク質
  • 低含有率のタンパク質(Strep-Tactin XTとの併用により可能)
  • 複数のサブユニットを有するタンパク質複合体
  • 生物学的活性を有するタンパク質

✔:Strep-Tactin XT Systemで新規に追加された適用

システム Strep-Tactin XT(本製品) Strep-Tactin(旧製品)
tag Twin-Strep-tag Strep-tag Ⅱ Twin-Strep-tag Strep-tag Ⅱ
精製 濃縮物 (サイトゾル)
希釈物 (分泌) ✔✔ ✔✔
バッチ法(磁性ビーズ) ✔✔ ×
検出(Western, ELISA) ✔✔ ✔✔
アッセイ/固定相(MTP, chips)
溶出オプションを含む
✔✔ ×


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使用例

SDS-PAGEによるタンパク質の精製法の違いの影響の検証

Ni-NTA:His6-tag(左)およびStrep-Tactin XT:Twin-Strep-tagシステム(右)を用いて精製したmCherryおよびGAPDHを非変性条件下でSDS-PAGEを行った。

Ni-NTA:His6-tagを使用

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Ni-NTA:His6-tagを使用

Strep-Tactin XT:Twin-Strep-tagを使用

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Strep-Tactin XT:Twin-Strep-tagを使用


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Strep-Tactin XTとは

Strep-Tactin XTとは (クリックで開閉します)

ストレプトアビジン-ビオチン間の結合は、最も強力な非共有結合的、生物学的相互作用とされています。IBA社は、Twin-Strep-tagと組み合わせたStrep-Tactin XTを開発しました。Twin-Strep-tagとStrep-Tactin XT間は、共有結合に近い高い親和性があるため、タンパク質間相互作用解析またはBIAcoreアッセイなどに使用できます。また、ビオチンとStrep-Tactin XTとの親和性はTwin-Strep-tagとStrep-Tactin XTとの親和性より強いため、ビオチンを使用してTwin-Strep-tag融合タンパク質を溶出することもできます。

Biotin:Streptavidin, Strep-tagⅡ:Strep-Tactin, Twin-Strep-tag:Strep-Tactin XTにおける親和性の比較

親和性の比較

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Twin-Strep-tag、Strep-tagⅡの比較

製品群 Twin-Strep-tag Strep-tag Ⅱ
構造 Twin-Strep-tag Strep-tag Ⅱ
構成アミノ酸数 28 amino acids 8 amino acids
特長
  • タンパク質N末端またはC末端に結合します。
  • タンパク質のフォールディング(折りたたみ)には影響しません。
  • タグの除去は不要です。


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Twin-Strep-tagの発現

StarGateのクローニングとTwin-Strept-tagの発現 (クリックで開閉します)

Twin-Strep-tagを融合させた目的タンパク質(GOI)の発現には、発現系に合わせたStarGate Cloning System(下図)を利用します。
下の画像をクリックすると、製品マニュアルおよびTwin-Strep-tag対応のAcceptor Vector製品一覧をご覧いただけます。

StarGate

StarGate Cloning System

Protein purification with Strep-Tactin XT resins

Protein purification with Strep-Tactin XT resins

Twin-Strep-tag対応のAcceptor Vector製品一覧

Twin-Strep-tag対応のAcceptor Vector製品一覧

StarGate Cloning System:E. coli、酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞で目的タンパク質を発現するDestination vectorを、相同組換えにより効率よく作製するシステム

StarGate Cloning System

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製品ラインナップ

商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

Strep-Tactin XT Strep-Tactin XT
4Flow high capacity 4Flow
粒径 50~150μm球状
pH安定性 4~10
タンパク質結合能 14 mg/ml resin 5 mg/ml resin
対応可能なタンパク質サイズ 小~大
低含量のタンパク質収量
高分子タンパク質収量 5倍増
分離困難なタンパク質との適合性 完全に適合
形状 50%懸濁液
適用 Strep-tag Ⅱ and Twin-Strep-tag 結合タンパク質の精製
特異性 Twin-Strep-Tag、Strep-tag Ⅱ
担体 4%アガロース架橋
製品の種類 包装 商品コード
Resin 4 ml 2-5030-002 2-5010-002
20 ml 2-5030-010 2-5010-010
50 ml 2-5030-025 2-5010-025
Cartridge
(HPLC / FPLC)
1 ml 2-5027-001 2-5023-001
5 ml 2-5028-001 2-5024-001
Column
(重力法)
5 × 0.2 ml 2-5031-005 2-5011-005
1 ml 2-5032-001 2-5012-001
5 ml 2-5033-001 2-5013-001
10 ml 2-5034-001 2-5014-001
Starter Kit 1 Kit 2-5998-000

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Strep-Tactin XT 4Flow Starter Kit

Twin-Strep-tagまたはStrept-tag Ⅱタグ融合タンパク質の精製に必要な試薬がすべて含まれたStrep-Tactin XT 4Flowシステムのキットです(8回分)。キット構成品をクリックすると、単品の価格表をご覧いただけます。

Starter Kit

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Strep-Tactin XT 4Flow Starter Kit (#2-5998-000)

キット内容


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操作方法概略

操作方法概略 (クリックで開閉します)
Strep-Tactin XT Systemの操作方法概略1

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Strep-Tactin XT Systemの操作方法概略2

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  • Step 1:細胞溶解物/培養上清をカラムに加える。
  • Step 2:タグ付きタンパク質をStrep-Tactin XTに特異的に結合させた後、カラムを洗浄する。
  • Step 3:カラムにビオチンを添加し、タグ付きタンパク質を溶出させる。
  • Step 4:カラムにBuffer XT-RまたはNaOHを添加し、カラムを再生する(3~5回近く再生可能)。

Strep-Tactin XT/Twin-Strep-tag Systemの適応試薬表

種別 化合物名 濃度
還元剤 DTT 45 mM
β-Mercaptoethanol
非イオン性界面活性剤 Tween 20 2%
Dodecyl Maltosid
Decyl Maltosid
β-Otylglucosid
イオン性界面活性剤 Sodium-N-dodecyl sulfate(SDS) 0.09%
n-Dodecyl-phosphocholine 2%
n-Tetradecylphosphocholine
Lauryldemethylamin N-oxid
その他 MgCl2 1 M
EDTA 50 mM
Glycerol 25%
Imidazole 250 mM
Ethanol 10%
NaCl 4.5 M
Guanidine 1 M

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関連製品

Strep-Tactin XT coated microplate(#2-5101-001

Strep-Tactin XTがコートされたハイスループットアッセイに最適なready-to-useのマイクロプレート(12×8 well strip)です。ストレプトアビジンのバリアントであるStrep-Tactin XTの高い特異性と親和性(nM ~ pM)により、複雑な混合物からもStrep-tag ⅡまたはTwin-Strep-tag融合タンパク質を選択的かつ安定して捕捉できます。リガンド結合アッセイ、イムノアッセイ、酵素アッセイなどに有用です。

使用例

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マイクロタイタープレート(MTP)を用いたアッセイ

蛍光分析中のN末端またはC末端Strep-tagと組換えタンパク質の配向結合の概略図

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蛍光MTPアッセイを使用したStrep-Tactin XTとStrep-Tactinの最大結合能力の比較

細菌アルカリホスファターゼ(BAP、BAP-Strep-tag ⅡおよびBAP-Twin-Strep-tag)をそれぞれStrep-Tactinまたは Strep-Tactin XTでコーティングしたマイクロプレートに適用した。洗浄後、結合したBAPの量を測定したところ、Strep-Tactin XTがより多くのタンパク質を回収することがわかった。

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Strep-Tactin XTでのタンパク質の効率的な固定化を示す相対最大結合容量の比較

Strep-Tactin XT coated microplateを用いた(Twin-)Strep-tag Ⅱ融合タンパク質の Strep-Tactin XTへの効率的な固定化


製品概略

商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

品名 包装 商品コード 特長
Strep-Tactin XT coated microplate
Strep-Tactin coated microplate

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1 plate 2-5101-001
  • 結合能力:4 pmol/well(200 μlインキュベーション容量)*
  • コーティング液量:250~260 μl
  • 1ウェル当たりの最大液量:300 μl
  • 最適pH:8

Twin-Strep-tagに融合した細菌性アルカリホスファターゼ(BAP、52.2 kDa)による測定結果


測定方法の例(ELISAの場合)

  1. タンパク質希釈液(必要に応じて3% BSAを添加することができる)をStrep-Tactin XT coated microplateに直接加える。
  2. 室温で1~2時間インキュベートする。
  3. プレートを洗浄後、メーカー推奨の方法で検出試薬を加えてインキュベートし発色させ、プレートリーダーにより測定する。

その他の関連製品

商品コードをクリックすると価格表をご覧いただけます。

品名 包装 商品コード 製品概要
Avidin

Avidin

50 mg 2-0204-050 遊離ビオチンを含む増殖培地を使用する場合などで、Strep-tagタンパク質精製中にビオチンとビオチン化タンパク質がStrep-Tactinカラムに結合するのを防止します。
Anhydrotetracycline

Anhydrotetracycline

25 mg 2-0401-002 tetプロモーター制御のpASKおよびpASG-IBAベクターの誘導に使用します。Strep-tag / Strept-Tactin大腸菌発現カセットは、tet Aプロモーター/オペレーターおよびリプレッサーの転写制御下にあります。プロモーターは低濃度のアンヒドロテトラサイクリン(AHT)によって誘導されるため、コスト低減やAHTの抗菌力の影響を最小化できます。
Biotin

Biotin

2 g 2-1016-002 Streptavidin、Strep-Tactin、Sterp-Tactin XTと非常に強く結合するため、これらのタグ付きタンパク質の溶出に用いられます。
5 g 2-1016-005
Buffer BXT

Buffer BXT

25 ml 2-1042-025 ビオチンを含むStrep-Tactin XT溶出バッファー(×10 concentrated)です。
Buffer XT-R

Buffer XT-R

250 ml 2-1045-250 Strep-Tactin XTのカラム再生に用いる試薬です。
Strep-Tactinの再生には使用できません。
MagStrep Strep-Tactin XT beads

MagStrep Strep-Tactin XT beads

2 ml 2-5090-002 Strep-Tactin XTでコーティングされた磁気ビーズ(5%(v/v)懸濁液)です。本製品は、非特異的タンパク質結合性と高い結合能を併せ持っています。そのため、タンパク質の機能性の必要がない場合には、ビオチンの代わりに変性SDSゲルローディングバッファー中で煮沸することにより溶出が可能です。天然型タンパク質の溶出には、BXT-biotin elution buffer(#2-1042-025)を使用して下さい。
本製品の詳細についてはこちらをご覧下さい。
10 ml 2-5090-010
Magnetic Separator

Magnetic Separator

1 piece 2-1602-000 MagStrep type3 XTビーズ(Strep-Tactin XTをコーティングした磁気ビーズ)用のマグネチックセパレーターです。Strep-tagタンパク質をバッチで迅速に精製できます(24反応チューブ用、12×1.5 mlおよび12×2 ml)。標的分子はStrep-Tactin XTに数分以内に特異的に結合します。磁気ビーズは、磁気分離器を使用することにより、溶液から数秒以内に分離できます。
Strep-tag Ⅱ peptide

Strep-tag Ⅱ peptide

1.8 mg 2-1018-002 Strep-Tactinに結合する合成ペプチドです。目的に応じて、使用されることがあります。
Buffer W(10×)

Buffer W(10×)

100 ml 2-1003-100 Strep-tagタンパク質精製中において、固定化Strep-TactinおよびStrep-Tactin XTから非結合分子を洗浄除去に使用します。
WET FRED Set

WET FRED Set

1 set
(1 ml用)
2-0911-001 すべてのStrep-Tactinおよび Strep-Tactin XT gravity flow columnと互換性があります。
1 set
(5~10 ml用)
2-0910-001

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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