慢性心疾患、高血圧症、糖尿病、長寿研究に（HyTest社） 抗ヒトBNP、proBNP抗体／組換え体ヒトproBNP

脳性ナトリウム利尿ペプチド（BNP）およびBNP前駆体proBNPのN末端部分（NT-proBNP）は、心不全（HF：heart failure）の診断および予後のバイオマーカーとして確立されています。American Heart Associationによると、その罹患率は米国で650万人に及び、毎年100万人近くの新しい症例が報告されています¹。世界的には、有病率は2,300万人以上に達しています。慢性心疾患、高血圧症、糖尿病は既知の危険因子の1つであり、HFの有病率も65歳以上の人の方が高くなっています。

臨床的に急性心不全が疑われる患者の初期評価でHFを除外するために、BNPまたはNT-proBNPのいずれかの測定が推奨されており、両マーカーを測定することで疾患の進行を監視も可能になります。臨床的価値はBNPとNT-proBNPで類似しており^2,3、現在両マーカーが臨床診療で使用されています。健康な成人では、血漿中のBNPの上限は35 pg/mlで、NT-proBNPの上限は125 pg/mlです⁴。ただし、この値は年齢や性別によって異なり、高齢者や女性は高くなります。

PreproBNPは、134個のアミノ酸残基（a.a.r.）で構成され、心筋細胞で合成されます。シグナルペプチドの除去によりproBNP分子が出現します。proBNPは、次に未知のプロテアーゼによって切断され、BNPおよびproBNPのN末端部分の2つのペプチド、BNP（32 a.a.r.、生物学的活性分子）とNT-proBNP（76 a.a.r.、生理学的活性は未解明）を形成します。これら2つのペプチドと未処理のproBNPは、血流に分泌され、ヒトの血液中を循環します。BNPは血流から効率的に除去され、半減期は約20分ほどであるのに対し、NT-proBNPの半減期はより長く60～120分であり、NT-proBNPはBNPに対して明らかに血中濃度が高いことを表しています。

BNPとNT-proBNPの測定は、心臓病の異なる患者のリスク層別化にも役立ちます。合併症を発症する患者は、合併症のない患者よりも有意に高いBNPおよびNT-proBNP濃度を示します。うっ血性心不全の患者では、高いBNPまたはNT-proBNPレベルが死亡予測や心血管リスクに関与します。一方で、急性冠不全症候群の患者では、両方のペプチドレベルの上昇により死亡率や重度の心不全が予測されます。