神経変性疾患の研究に有用な抗体 抗シヌクレイン抗体 | Anti-Synuclein antibody

αシヌクレインは、主に中枢神経系におけるシナプス前終末において多量に発現している140アミノ酸のタンパク質で、いくつかの神経変性疾患と関連しています。αシヌクレイン遺伝子の点突然変異は、家族性パーキンソン病（PD）と関連する初の遺伝子変異として発見されました。また、パーキンソン病と皮質レビー小体認知症（LBD）に見られるレビー小体と呼ばれる凝集タンパク質は、主にαシヌクレインが凝集したものであることが発見されました。αシヌクレインは可溶性またはαヘリックス構造の膜結合性で、αシヌクレインのプロセシング異常はその結合性および機能に病理学的な変化をもたらすと考えられています。

βシヌクレインは、アルツハイマー病に見られる老人斑の非アミロイド成分で、αシヌクレイン凝集の調節因子として作用すると考えられています。βシヌクレインは、スタウロスポリンと6-ヒドロキシドーパミンの刺激によるカスパーゼの活性から、p53依存的に神経細胞を保護します。βシヌクレインは、細胞質に局在化し大部分のシナプス前終末が集中している脳内で発現しています。また、βシヌクレインはリン酸化タンパク質で、脳内鉄沈着神経変性疾患（NBIA1）とも関連があると考えられています。

γシヌクレインは、ニューロフィラメントネットワークの整合性を担っています。成長期および成体において、軸索構築調節に関与していると考えられています。in vitroでは、カルシウム依存性プロテアーゼに対するニューロフィラメントHの感受性を増加させます。皮膚のケラチンネットワーク調節機能も有するとも推定されており、MAPKおよびElk-1シグナル伝達経路を活性化することが示されています。また進行性乳がんにおいて高レベルのγシヌクレインが観察され、γシヌクレインの過剰発現と乳房腫瘍発生との相関関係が示されています。