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ヒトミルクオリゴ糖(Biosynth社) Human Milk Oligosaccharides (HMO)

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:63714

ヒトの母乳は、プレバイオティクス、細菌感染を防御するデコイ糖質(decoy carbohydrate)および免疫修飾などの機能を持つ多様なミルクオリゴ糖を含有しています。Biosynth社では、これらの多くのミルクオリゴ糖を取り扱っています。


Human Milk Oligosaccharide(HMO)とは

ヒトの母乳は、新生児が他の食物を食べて消化できるようになる前の主な栄養源です。他の多くの動物種と比べて、ヒト母乳の特徴的な性質の一つは、含まれている遊離のオリゴ糖の量と多様性です。ヒトのミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳中では最大12 g/lで存在し、初乳中には最大20 g/l含まれます。HMOは、

  1. 善玉菌に作用するプレバイオティクス
  2. 細菌感染を防御するデコイ糖質(decoy carbohydrate)
  3. 免疫修飾
などの機能を有します。現在、構成糖や分子量、構造が異なる少なくとも130のユニークなHMOが同定されており、多くはb-グリコシド結合によってラクトースにガラクトース(Gal)およびN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が反復して結合した配列を共通に持っています。この他にはフコースの添加で生成する中性HMOなどがあります。

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HMOの機能

プレバイオティクス

最も豊富に含まれるHMOはラクト-N-テトラオースで、胃の酸性環境に耐えることができ、通常の腸の酵素によって分解されません。そのためラクト-N-テトラオースは腸下部まで通過し、プレバイオティクスとして正常な腸機能に不可欠と考えられている、多くのビフィドバクテリアのコロニー形成を促進します。

デコイとしての機能:

宿主細胞壁への結合はカンピロバクター、大腸菌、コレラ菌および赤痢菌、または一部のサルモネラ菌株を含む多くの病原性細菌の病原性に重要です。これらの生物の病原性因子の多くは、細胞膜上に提示された糖に結合するタンパク質(レクチン)です。 HMOは、これらのレクチンのデコイとして結合することができ、病原体が標的細胞に付着するのを防止します。

免疫の役割

セレクチンは、免疫系の多くの細胞の表面に提示され、炎症における組織の浸潤などの細胞細間相互作用に関与している糖タンパク質です。セレクチンはそれぞれの標的リガンド上において、シアリルルイスx(#OS04058)などの特定のフコシル化およびシアリル化オリゴ糖に結合します。HMOは、これらの糖リガンドと多くの構造的類似性を共有しており、酸性(シアリル化)HMOは、生理学的濃度において白血球のローリングや接着を阻害することができます。

セレクチン相互作用の一つに、好中球の活性化につながる血小板/好中球複合体(PNCs)の形成があります。PNCは壊死性腸炎(NEC)と関連していると考えられ、HMOはPNC形成阻害を介して母乳保育の乳児(人工栄養児に比べて85%低い)においてNECの発生率が低い原因物質とされています。

HMO画分は、 β-GALとLAcNAc末端を有するグリカンと結合するガレクチンと、末端のシアル酸に特異的なシグレツクの両方の結合を阻害することが知られています。しかし、免疫または発育におけるHMO画分の役割はまだ十分に研究されていません。

参考文献

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  2. Boehm, G. and Stahl, B., "Oligosaccharides", Mattila-Sandholm, T., editor, Functional dairy products, Cambridge:Woodhead Publishers, 203 (2003).
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  11. Crocker, PR., Curr. Opin. Struct. Biol., 12, 609~615 (2002).


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製品の種類

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品名 CAS No. 化学式 M.W. 純度 化合物情報 商品コード
2'-Fucosyllactose- Synthetic 41263-94-9 C18H32O15 488.44 ≧95%
1H NMR)
母乳に含まれる一般的なオリゴ糖。プレバイオティクス、免疫調節物質 OF06739
3-Fucosyllactose 41312-47-4 C18H32O15 488.44 ≧95%(NMR) 大腸内の細菌によって代謝される。 OF05673
3'-Sialyllactose sodium salt 35890-38-1 C23H39NO19 633.55 ≧98%
(HPLC)
細菌やウイルスの付着を抑制する。ヒトの母乳や牛乳に含まれる。 OS04397
6'-Sialyllactose sodium salt 56144-12-8 C23H39NO19 633.55 ≧98%
(HPLC)
OS04398
Lacto-N-tetraose
-mixture with
Lacto-N-neotetraose
14116-68-8 C26H45NO21 707.63 ≧95%
(HPLC, area-%)
ヒトの母乳に天然に存在する中性四糖 OL05683
Lacto-N-neotetraose 13007-32-4 C26H45NO21 707.63 ≧95%
(HPLC)
OL05765
Lacto-N-fucopentaose Ⅰ 7578-25-8 C32H55NO25 853.77 ≧95%
(NMR)
ミルクオリゴ糖。ヒトiPS細胞に発現する。 OL05676
Lacto-N-fucopentaose Ⅱ 21973-23-9 C32H55NO25 853.77 ≧95%
(HPLC)
主要なミルク五糖。呼吸器および胃腸の病状を軽減する。 OL03876
Lacto-N-fucopentaose Ⅲ 25541-09-7 C32H55NO25 853.77 ≧95%
(HPLC)
ヒトの母乳に天然に存在する中性五糖 OL04212
Lacto-N-fucopentaose Ⅴ 60254-64-0 C32H55NO25 853.77
≧80%
(NMR)
母乳オリゴ糖。コレラ毒素TcdAに結合する。 OL06817

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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