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希土類蛍光標識試薬 ATBTA-Eu3+

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:5093

ATBTA-Eu3+はユウロピウム(Eu3+)錯体で、蛍光標識試薬として機能します。アミノ基にジクロロトリアジル基を導入し、DTBTA-Eu3+に変換することによりタンパク質などに含まれるアミノ基を容易に標識することができます。



希土類蛍光標識試薬とは

タンパク質や核酸の分析にはフルオレセイン、ローダミン、シアニン系色素などに代表される有機蛍光色素を標識試薬とする蛍光測定が行われてきました。一方、ユウロピウム(Eu3+)やテルビウム(Tb3+)などの希土類錯体を標識試薬とする蛍光分析も次第に応用範囲を広げつつあります。
希土類錯体の一般的特徴は励起(310~340 nm程度)と蛍光(Eu錯体で615 nm付近、Tb錯体で545 nm付近)の波長差が大きいこと、蛍光寿命が数百マイクロ秒から1ミリ秒以上と長いことなどがあります。この特性を生かすと蛍光寿命の短いバックグラウンド蛍光がシグナルから除去できます。このような場合、多くは従来法に比べて一桁以上の高感度が得られます。


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特長

  • DTBTA-Eu3+は従来の希土類標識試薬に比べて錯生成定数が大きく安定で、緩衝液の種類による蛍光強度の変動が格段に少なくなっています。
  • 蛍光寿命が長い(τ=1.02 ms)ため、時間分解蛍光測定(遅延蛍光測定)が可能です。
  • 水溶液中における蛍光強度の経時変化や励起光照射による錯体の劣化も問題になりません。
  • 各種バッファー(Tris、TE、PBSなど)でも蛍光が安定しており、広範囲な用途に対応可能です。
  • タンパク質などを標識したDTBTA-Eu3+は安定性が高く、電気泳動で分離分析することが可能です。
  • 多くの希土類錯体と異なり、DNAチップなどのアレイ固相表面上で乾燥しても蛍光強度が低下しません。
  • 励起波長と蛍光波長が離れているため、測定における励起光のクロストークの影響がありません。
  • 蛍光スペクトルがシャープです。
  • 正式名:Sodium [4'-(4'-amino-4-biphenylyl)-2,2':6',2''-terpyridine-6,6''-diylbis(methyliminodiacetato)]europate(III)]
  • 測定波長:励起335 nm/蛍光616 nm(DTBTA-Eu3+


DTBTA-Eu3+水溶液の励起スペクトル(左)と発光スペクトル(右)

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標識原理


ATBTA-Eu3+からDTBTA-Eu3+の合成法およびタンパク質への標識反応
ATBTA-Eu3+を用いてタンパク質などを標識する場合、ATBTA-Eu3+のアミノ基にジクロロトリアジニル基を導入し、DTBTA-Eu3+に変換して用いるとタンパク質などのアミノ基をスムースに標識することができる。ATBTA-Eu3+はそれ自身の蛍光は強くないが、DTBTA-Eu3+に変換されると強い蛍光を発するようになる。

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調製方法

1. ATBTA-Eu3+ 2 mgを0.1 M酢酸バッファー60μl(pH 4.9)に溶解する。
2. 1.の溶液にシアヌル酸クロリド0.43 mgをアセトン溶液25μlで溶解したものを加え、30分撹拌する。
3. 反応溶液を1 mlのアセトンに加え、析出した固体を遠心分離により回収し、アセトン0.5 mlで2回洗浄した後、1時間減圧乾燥する。
4. 標識を行う際はこれを1 mlの炭酸バッファー(pH 9)に溶解し、反応に用いる(DTBTA-Eu3+の最終濃度はおよそ2 mMとなる)。
調製したDTBTA-Eu3+はアルカリ溶液中では容易に加水分解を受け、標識反応の活性が消失します。調製後は直ちにご使用下さい。やむを得ず一時保管する場合はバッファー(~pH 5)に溶解し、0℃以下で保存して下さい。

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適 用 例

  • イムノアッセイ
  • ハイブリダイゼーション
  • 免疫組織染色

抗DTBTA-Eu3+抗体(#A2239)を使用することでELISAやウエスタンブロッティングへの応用も可能です。詳細はフナコシホームページの「抗DTBTA-Eu3+抗体」をご覧下さい。

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価格

[在庫・価格 :2024年04月26日 00時00分現在]

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ATBTA-Eu3+
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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