FACSを用いた造血幹細胞の分離に有用です！ 抗幹細胞マーカー抗体／抗造血幹細胞マーカー抗体（R&D Systems社）

造血幹細胞（HSC、Hematopoietic Stem Cells）は、造血の過程ですべての分化した血球タイプが発生する多分化能と自己複製能を持つ前駆細胞です。これらの細胞には、リンパ球、顆粒球、免疫系のマクロファージ、循環赤血球、血小板が含まれます。古くから、HSCはリンパ系および骨髄赤血球系の2系統に限られる少能性前駆細胞に分化すると考えられています。

血液系を発生する「骨髄系ベース」のモデルでは、共通の骨髄－リンパ系前駆細胞という新たな中間体が存在し、両系統から子孫細胞を産生する能力を持つことが示されました。HSCの自己複製と分化を制御するメカニズムは、サイトカイン、ケモカイン、レセプター、細胞内シグナル伝達分子の多様なセットによって影響を受けると考えられています。

HSCの分化は、細胞内シグナル伝達経路を活性化するコロニー刺激因子（CSF）やインターロイキン（IL）などの成長因子やサイトカインによって部分的に調節されています。

造血幹細胞は、骨髄の細胞の10,000個に約1個、または血液中の細胞の100,000個に1個に相当すると推定されています。したがって、造血幹細胞（HSC）を使用する研究者にとって、細胞のより大きなプールからの同定と分離が主な課題となります。さらに、造血幹細胞は形態学的に白血球と非常によく似ています。したがって、HSCの分離と同定技術は、細胞表面マーカーと分化抗原群（CD）の検出に依存する場合が多くあります。

HSCは一般的に、系統特異的なマーカーが発現していないことが特徴です。ヒト造血幹細胞は、CD34⁺、CD59⁺、CD90/Thy1⁺、CD38^low/-、c-Kit^-/low、およびLin^-として決定されます。マウス造血幹細胞は、CD34^low/-、SCA-1⁺、CD90/Thy1^+/low、CD38⁺、c-Kit⁺、およびLin^-と見なされます。これらのマーカーパネルの発現を検出することで、蛍光活性化セルソーティング （FACS）などの技術を介して特定の細胞集団を分離することができます。