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遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc)応答性タンパク質ラベル化試薬 Zin-Pro Capture

掲載日情報:2020/06/12 現在Webページ番号:80823

フナコシ /
フナコシ株式会社
[メーカー略称:FNA]

Zin-Pro Captureは遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc)に応答し、周辺に存在するタンパク質にフルオレセイン標識するコンディショナルプロテオミクス試薬です。細胞内遊離亜鉛イオンの輸送動態に関わるタンパク質の同定・解析に有用な試薬です。

本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。
本製品はフナコシ(株)が京都大学工学研究科 浜地教授の研究成果に基づき製品化したものです。

Zin-Pro Captureのアプリケーション例

Zin-Pro Captureのアプリケーション例

アプリケーションの項目をクリックすると、それぞれの使用例をご覧いただけます。

標識総タンパク質の解析 ウエスタンブロット法による個々のタンパク質の解析 質量分析による網羅的な解析 標識タンパク質の細胞内局在観察

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コンディショナルプロテオミクス(Conditional proteomics)とは

タンパク質標識試薬は細胞に添加することで内在性タンパク質への標識が可能です。蛍光色素導入によるタンパク質可視化や機能性分子の導入による機能付加などさまざまな用途に用いられています。また、網羅的プロテオミクスにも有用なツールとして用いられています。しかしながら、生体内の夾雑な環境で標識する場合、標識したいターゲットタンパク質を選ぶことは難しく、また必要なタイミングで標識することは難しいことが課題です。
京都大学 浜地教授らは必要なタイミングでタンパク質に標識を導入できる環境依存性タンパク質標識技術を確立しました。この環境依存的(condition dependent)なタンパク質標識を利用したプロテオミクスはコンディショナルプロテオミクス(Conditional proteomics)として2016年のNature Methods誌に提案され、注目されています。

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Zin-Pro Captureとは

Zin-Pro Captureは、京都大学 浜地教授により開発された、細胞内の高濃度亜鉛を感知して、周囲のタンパク質に選択的に蛍光色素フルオレセインを導入する新規タンパク質標識試薬(文献中の名称:AIZin-2)です。生理現象、病理現象に大きく関与すると考えられている亜鉛イオンの細胞内挙動を、タンパク質レベルで解析できる優れたツールとして注目されています。

Zin-Pro Capture(AIZin-2)

Zin-Pro Capture(AIZin-2

Zin-Pro Captureのタンパク質標識の原理

Zin-Pro CaptureはZnキレート部位とフルオレセイン、および活性スイッチ型標識基Acyl imidazole (AI) の構造を有します。Zin-Pro Capture自体はタンパク質標識活性が弱く、そのままでは標識は進みません。亜鉛イオンがZin-Pro Captureのdipicorylamine/acyl imidazoleにキレートされるとacyl imidazoleが活性化され、タンパク質へのフルオレセイン標識反応が進行します。この亜鉛応答性分子設計により周囲環境の亜鉛の有無に応じたタンパク質標識が可能となっています。

Zin-Pro Captureの亜鉛応答性タンパク質標識原理

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亜鉛応答性タンパク質標識原理

Zin-Pro Captureによる細胞内のタンパク質標識の様子

Zin-Pro Captureは遊離亜鉛が高濃度に濃縮する領域で、亜鉛イオンにより活性化されて周囲のタンパク質にフルオレセイン標識します。

Zin-Pro Captureによる細胞内のタンパク質標識の様子

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Zin-Pro Captureによる細胞内のタンパク質標識の様子

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特長

  • 亜鉛イオンに対する高い特異性があります。細胞内の主要な金属イオンであるMn2+, Fe2+, Fe3+, Na+, K+, Ca2+, Mg2+では反応性を示しません。
  • 遊離亜鉛イオンの有無で高いSN比を示します。亜鉛イオン存在下では迅速にタンパク質にフルオレセインを標識します。
  • Zin-Pro Captureは細胞膜透過性があるため、培地に添加するだけで自発的に細胞に取り込まれます。
  • Zin-Pro Captureにより標識されたタンパク質は抗フルオレセイン抗体を用いた免疫沈降法で精製が可能です。
  • Zin-Pro Captureにより標識されたタンパク質は細胞固定後に免疫染色に利用することができ、局在観察が可能です。
  • 推奨使用濃度1 μMでは細胞毒性がほとんどありません。
  • さまざまなアプリケーションに使用可能です(下記参照)。
  • 分子式:C46H40N6O11
  • 分子量:852.85 g/mol
  • 溶解性:DMSO
  • Ex/Em:495/515 nm (一般的なFITC用フィルターが使用できます)

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アプリケーションデータ

アプリケーション①:標識総タンパク質の解析

アプリケーション①:標識総タンパク質の解析

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C6グリオーマ細胞に酸化ストレス処理(一酸化窒素発生試薬SNOC、200 uM)をした15分後および180分後に亜鉛キレート剤TPEN(400 uM)非共存下・共存下で1 uM Zin-Pro Captureを添加して10分間培養した。細胞をSDS-PAGEサンプルバッファーで溶解後、SDS-PAGEで電気泳動し、蛍光イメージャーとCBB染色で観察した。CBB染色で総タンパク質量に変動が無いことがわかるが、Zin-Pro Captureによりラベル化されたタンパク質のバンドパターンが酸化ストレス処理時間に応じて変動していることがわかる。またZin-Pro Captureによる標識は亜鉛キレート剤TPENで阻害されていることから、Zin-Pro Captureによる標識活性が亜鉛イオンによるものであることがわかる。

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アプリケーション②:標識タンパク質のウエスタンブロット及び質量分析での解析

C6グリオーマ細胞に酸化ストレス処理(一酸化窒素発生試薬SNOC, 200 uM)をした0、10、180分後にZin-Pro Captureでラベル化されたタンパク質を抗フルオレセイン抗体(anti-FL)で免疫沈降し精製した後、ウエスタンブロット(A)と質量分析(B)で解析した。

A:ウエスタンブロット法による個々のタンパク質の解析

抗フルオレセイン抗体による免疫沈降精製物を電気泳動し、個々の特異的抗体でウエスタンブロットすることで、各タンパク質の標識量を評価できる。バンドが強く得られるものほど、亜鉛濃度が高い領域に存在するタンパク質であることを示す。ミトコンドリアタンパク質のCitrate synthetaseは酸化ストレス処理10分後にバンドが得られ、ERタンパク質のCalnexinやGRP94は180分後に強いバンドが得られた。遊離亜鉛は細胞質でメタロチオネインから放出されたのち、ミトコンドリアを経てERに輸送されることがわかる。

B:質量分析による網羅的な解析1

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B:質量分析による網羅的な解析

TMT法により安定同位体を酸化ストレス0、10、180分処理サンプルにそれぞれ標識し、Zin-Pro Captureでの標識後、免疫沈降で回収、電気泳動、トリプシン消化しLC-MS/MSで0分/10分、10分/180分後の組み合わせで比較解析をおこなった。TMT法を用いることで、2サンプル間の変動を網羅的に解析できた。

B:質量分析による網羅的な解析1

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NO 0 min vs 10 min

B:質量分析による網羅的な解析2

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NO 10 min vs 180 min

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アプリケーション③:標識タンパク質の細胞内局在観察

Zin-Pro Captureで標識したタンパク質の局在を固定細胞で可視化できる。免疫染色に利用することも可能で、各種オルガネラマーカーとの共染色や、遊離亜鉛イオンの輸送に関わるタンパク質との関係を時空間的に観察できる。

SNOC 10 min

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SNOC 10 min

SNOC 2 hour

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SNOC 2 hour

細胞をメタノールで固定し、フルオレセインの蛍光シグナルを共焦点顕微鏡で観察した。
酸化ストレス処理10分後は細胞全体に標識が見られるが、2時間後はベシクル状の染色像が観察され、遊離亜鉛が毒性を抑えるためにベシクルに輸送されたことがわかる。

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亜鉛イオン解析の重要性についてのFAQ

Q-1. 何故亜鉛イオンの挙動を解析する必要があるの?

A-1.

必須元素である亜鉛は細胞内でも高濃度に存在する遷移金属で、タンパク質のフォールディングや酵素活性などタンパク質の機能発現に重要な役割を果たすことが知られています。総タンパク質の約10%が亜鉛結合タンパク質であるとの見積もりも報告されています。通常メタロチオネインのような金属タンパク質によって亜鉛イオンはタンパク質内に安定に保管され、細胞内の遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc)は低濃度に保たれています。一方で、遊離亜鉛イオンはタンパク質表面に弱く結合することでシグナル伝達因子として働くことが徐々に明らかになってきており、過剰な遊離亜鉛イオンと疾患(たとえば、脳内虚血や脳傷害、てんかんやアルツハイマー病など)の密接な関係性が示唆されています。このことから細胞内の遊離亜鉛イオンのホメオスタシスは幅広い分野で注目され始めています。

亜鉛ホメオスタシス研究報告の推移

Q-2. 亜鉛イオンのイメージングではだめなの?

A-2. 遊離亜鉛イオンの各種イメージング試薬は細胞内の亜鉛の局在を観察するのに優れたツールとして用いられていますが、亜鉛イオンが局在する細胞内構造は不均一で複数のオルガネラにまたがっていることがわかっています。そのため、遊離亜鉛イオンの可視化には便利ですが、イメージングだけでは遊離亜鉛の輸送経路を正確に理解するのは不十分とされています。Zin-Pro Captureは亜鉛が濃縮する細胞内画分のタンパク質に選択的にフルオレセイン標識できるため、亜鉛が輸送される軌跡をタンパク質分子レベルで解析可能です。



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使用文献

  • Miki, T., et al., " A conditional proteomics approach to identify proteins involved in zinc homeostasis.", Nat. Methods, 13(11), 931~937 (2016). [PMID:27617391]

この論文では、Zin-Pro Capture(AIZin-2)を使用したコンディショナルプロテオミクスにより脳内虚血のモデルとして知られる酸化ストレス条件下におけるグリオーマ細胞内の亜鉛イオンの輸送経路をタンパク質レベルで解明しました。酸化ストレスによってメタロチオネインから放出された遊離亜鉛イオンの毒性を抑えるため、細胞が亜鉛イオンをCOPⅠ/COPⅡ小胞およびER-Golgi 中間分画(ER-Golgi intermediate compartment; ERGIC)に封じ込めることを世界で初めて分子レベルで明らかにしています。


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Zin-Pro Capture <Mobile Zinc-Responsive Protein Labeling Reagent>
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遊離亜鉛イオン(Mobile Zinc)に応答し,周辺に存在するタンパク質をフルオレセイン標識するコンディショナルプロテオミクス試薬(文献中の名称:AIZin-2)。
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掲載カタログ ニュース2018年3月15日号 p.6
ニュース2017年10月15日号 p.19

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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