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[掲載日情報:2017/09/01 現在]

R&D Systems社 ELISA 添加回収試験(Spike and Recovery Test)プロトコル

R&D Systems(R&Dシステムズ)社 ELISA 添加回収試験(Spike and Recovery Test)プロトコル

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はじめに


適用試料と適用外試料について

ELISA は,対象因子を特異的に認識する抗体を用いて,試料中の対象因子を相対定量する測定法です。しかし,試料中または希釈溶液中に含まれる測定干渉物質(BSA,補体,異好性抗体,リウマチ因子など)により,抗原抗体反応が阻害され,測定精度に影響を及ぼし,実際の対象因子の含有量と測定値との間に“ずれ”が生じることがあります。
R&D Systems(R&Dシステムズ)社(以下RSD 社)では,各ELISA キットについて,測定干渉物質による“ずれ”が生じないことを確認するために,「添加回収試験(Spike and Recovery Test)」ならびに「直線性試験(Linearity Test)」を実施しています。両試験を実施し,測定に問題がないことが確認されている試料を「適用試料」,それ以外の試料を「適用外試料」としています。
適用外試料を用いて測定を行いたい場合,測定を開始する前に,お客様ご自身で添加回収試験と直線性試験を実施し,ご使用になるキットがその試料の測定に適しているかどうかを確認する必要があります。


添加回収試験(Spike and Recovery Test)
試料溶液に濃度既知の対象因子を添加(Spike)し,その添加量が測定値に正しく反映されるか(回収(Recovery))を確認する試験です。試料に含まれる成分による干渉の有無がわかります。


直線性試験(Linearity Test)
濃度既知の対象因子を添加した試料と添加しなかった試料で希釈系列を作製・測定し,直線性(Lineality)を確認する試験です。測定値が直線性を示さなかった場合には,試料に含まれる成分の干渉により,正確な測定が妨げられていることがわかります。さらに,直線性を示す希釈範囲を決定することも重要です。
本項では添加回収試験と直線性試験のプロトコル例をご紹介します。


プロトコル例


I.試験に必要なもの

  • ELISA キット
  • ELISA に必要な器具(製品添付のデータシート参照)
  • 10 × Spiking Stock Solution(下記調製方法参照)
  • 試料2.0 ml(キットの標準曲線範囲内の濃度のもの)*1

*1 標準曲線範囲に収まるよう,希釈して使用。


II.Spiking Stock Solution の調製

キット付属のスタンダードに,ELISA キットのプロトコル上でスタンダード調製の際に指定されている量の1/10 量の希釈溶液*2を加え,10 × Spiking Stock Soluion とします。
例) ELISA キットのプロトコル上で「Calibirator Diluent を5 ml 加えて200 pg/ml のスタンダードストック溶液とする。」と記載されている場合。
→ Calibirator Diluent を0.5 ml 加えて2 ng/ml の10 × Spiking Stock Solution とする。


III.スタンダードの調製

10 × Spiking Stock Solution に適切な希釈溶液*2を加えて10 倍希釈後,キット付属のプロトコルに従い,スタンダードの系列希釈を行う。
*2 Spiking Stock Solution の調製と希釈に用いる溶液は,ELISA キットのプロトコルを参照し,適切なものを使用して下さい。


IV.試料およびコントロールの調製

以下の手順に従って,試料(添加なし/あり)とコントロール(添加あり)を調製して下さい。

1. チューブを3 本用意し,それぞれに「試料(添加なし)」,「試料(添加あり)」,「コントロール(添加あり)」と書いたラベルを貼る。

2. 試料(2.0 ml)を良く混合し,下記のように加える。
(a):「試料(添加なし)」チューブに試料を1.0 ml 加える。→このまま測定に使用する。
(b):「試料(添加あり)」チューブに試料を1.0 ml 加える。

3. 「 コントロール(添加あり)」のチューブに希釈溶液* 2 を1.0 ml 加える(c)。

4. 新たにチューブを用意し,「試料(添加あり)」,「コントロール(添加あり)」に10 × Spiking Stock Solution をそれぞれ同量添加して測定用試料を調製する*3。10 × Spiking Stock Solution 由来の標準物質の濃度が,標準曲線の中間程度の値になるよう添加量を調節する。最終容量が二重測定に十分な量になるよう調節する。
例) (d):「試料(添加あり)」980 μ l に10 × Spiking Stock Solution を20 μ l 添加する。
(e):「コントロール(添加あり)」980 μ l に10 × Spiking Stock Solution を20 μ l 添加する。

5. 調製した試料およびコントロールをボルテックスで混合する。

*2 Spiking Stock Solution の調製と希釈に用いる溶液は,ELISA キットのプロトコルを参照し,適切なものを使用して下さい。
*3 調製は,同じピペットを用いて同時に行う必要がありますが,ピペットチップはその都度交換して下さい。

試料およびコントロールの調製


V. 添加した試料/コントロールの希釈系列作製(直線性試験)

直線性試験を行うため,(d)「試料(添加あり)」と(e)「コントロール(添加あり)」の希釈系列を作製します。(a)「試料(添加なし)」の濃度がスタンダードの最高濃度の60%を超えている場合には,同様に希釈系列を作製して測定を行って下さい。
系列希釈した試料の測定値が,キットの標準曲線と同様の傾きを示すかどうかを確認することで,試料を希釈しても測定値の正確性が保たれるかを判断できます。

1. 1:2 希釈
(a)「試料(添加なし)」,(d)「試料(添加あり)」,(e)「コントロール(添加あり)」それぞれ0.5 ml に希釈溶液0.5 ml を加える。

2. 1:4 希釈
上記の1:2 希釈した各試料溶液0.5 ml にさらに希釈溶液0.5 ml を加える。

3. 1:8 希釈
上記の1:4 希釈した各試料溶液0.5 ml にさらに希釈溶液0.5 ml を加える。

希釈するたびにボルテックスで混合して下さい。


VI. アッセイの実施

キット付属のプロトコルに従い,III,IV,Vで調製した試料を用いてアッセイを行います。

プレートのウェル配置図

123456
Aスタンダード 1試料(添加あり)コントロール( 添加あり)
Bスタンダード 21:2 希釈の試料(添加あり)1:2 希釈のコントロール( 添加あり)
Cスタンダード 31:4 希釈の試料(添加あり)1:4 希釈のコントロール( 添加あり)
Dスタンダード 41:8 希釈の試料(添加あり)1:8 希釈のコントロール( 添加あり)
Eスタンダード 5試料(添加なし)
Fスタンダード 61:2 希釈の試料(添加なし)
Gスタンダード 71:4 希釈の試料(添加なし)
Hブランク1:8 希釈の試料(添加なし)

VII. 測定値の算出・解析

以下の計算式を使用して,測定値を算出し,解析を行います。

1. 添加回収試験

回収率(% Recovery)=「試料(添加あり)」の測定値 -「 試料(添加なし)」の測定値×100
添加した標準物質の量

2. 直線性試験

・「 試料(添加あり)」の直線性を検討する場合,「試料(添加あり)」の測定値を「予測値」とする。

・「 試料(添加なし)」の直線性を検討する場合,「試料(添加なし)」の測定値を「予測値」とする。

1:2 希釈の回収率(%)=1:2 希釈試料の測定値×100
予測値÷2
1:4 希釈の回収率(%)=1:4 希釈試料の測定値×100
予測値÷4
1:8 希釈の回収率(%)=1:8 希釈試料の測定値×100
予測値÷8

回収率80 ~ 120%が許容範囲です。

「 コントロール(添加あり)」は希釈系列が正しく作製できているかの確認に使用します。「コントロール(添加あり)」の回収率が80 ~120%にならない場合は,調製方法に問題があると考えられます。


VIII. 結論

添加回収試験および直線性試験の測定値が適切な範囲内に収まっていれば,条件未検討の適用外試料にELISA キットを使用する際の信頼度が向上します。

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