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1細胞ゲノム解析に革命を! AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)

掲載日情報:2023/04/04 現在Webページ番号:70489

AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)は、アガロースゲルのシェル(殻)による、1細胞(シングルセル)の包埋技術です。一般的な生物系ラボにある理化学機器を利用して、微生物1細胞を微細なAGM™に簡便に包埋することが可能です。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できます。
理化学研究所の特許技術(特許第7018685号)

AGM™カプセルの構造

AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)の概要
AGM™の内部は液状で外側はアガロースで覆われており、外部から細胞やゲノムDNAの混入は起こりません。1つのAGM™に微生物1細胞が包埋されます。一方、DNAポリメラーゼやdNTP、Primerはアガロースを透過することができるのでカプセル内での1細胞DNA増幅が可能です。AGM™は加温することで溶解し、増幅したDNAを容易に取り出することができます。抽出後、DNAライブラリー調整、NGS解析に使用できます。1回の実験で簡便に数十万個のAGM™を作製できます。


1細胞全ゲノム解析の課題

個々のゲノム情報をシングルセル(単一細胞)レベルで詳細に解析する「1細胞全ゲノム解析」は、「メタゲノム解析」との情報補完性の高さから注目されつつあります。微生物の1細胞全ゲノム解析の実現は極めて困難ですが、その原因は、DNAの量が絶対的に少ないという事実にあります。ゲノム解析では必要な量までDNAを増幅させる必要がありますが、その際、ゲノムの部位による増幅率の偏りが生じるため、全ゲノム解析が困難になります。この増幅バイアスの問題を克服し、ゲノムカバー率を100%に近づけることが、1細胞全ゲノム解析における重要な課題です。


1細胞全ゲノム増幅

1細胞全ゲノム解析での増幅バイアスの発生を抑える方法としては、反応容積の微小化が有効であることが知られていますが、それを高いレベルで実現したのが本AGM™(アガロースゲル・マイクロカプセル)です。


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特長

  • 試料の量が少なくても問題にはなりません。
      少量の試料であっても全ゲノム解析が可能なため、難培養性微生物の解析にも適用可能です。
  • 高いゲノムカバー率を誇ります。
      1細胞を微小中空カプセルへ包埋することで増幅バイアスを極限まで抑えます。これにより高いゲノムカバー率でのDNA増幅を実現します。
  • お求めになりやすい価格で、操作は簡便です。
      高価な専用機器は不要。既存のラボ設備ですぐに実験可能です。
  • 3回反応分が含まれています。

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AGM™におけるゲノムカバー率

AGM™はピコリットルスケールの微小中空カプセルへ1細胞を包埋することができるため、増幅バイアスを極限まで抑制することができます。実際に従来法とAGM™を比較検討した大腸菌の例では、90%以上のゲノムカバー率(p<0.01、n=10)を確認しています。

AMGはゲノムカバー率に優れている

従来法:フローサイトメーターでPCRプレートに細胞を単離後、MDA*反応を行った。
AGM™:AGM™に細胞を包埋した状態でMDA*反応を行った。
MDA:Multiple Displacement Amplification
Phi29 DNAポリメラーゼとランダムプライマーを用い、相補鎖の置換反応が複数箇所連続して多重に起こる等温DNA増幅法。


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1細胞包埋技術の比較

これまでもゲノムカバー率を高めるため、反応容積の微小化技術は考案されており、ゲルビーズ包埋(下図:ゲルビーズ)やエマルジョン(オイル中に懸濁した微小液滴/下表:Water-in-Oil)を用いた方法が開発されています。しかし、これらの方法では、微生物がゲルに埋没され空間的な自由が制限される、外部から必要な成分を供給できない、壊れやすいエマルジョンの単離が困難などの問題がありました。さらに高価で特殊な機器が必要、手間が掛かるといった課題もあります。
一方、AGM™はこれらの問題点を克服した手法です。

AMGと各種法との比較
参考文献:
  • Aoki, H. et al., Sci. Rep., 12(1), 17014 (2022). [PMID: 36257967]
  • Bigdeli, S. et al., PLOS One, 10(2), e0117738 (2015). [PMID: 25689864]
  • Hosokawa, M. et al., Sci. Rep., 7(1), 5199 (2017). [PMID: 28701744]
  • Alneberg, J. et al., Microbiome., 6(1), 173 (2018). [PMID: 30266101]

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プロトコル概略

微生物を包埋したアルギン酸コアを作製後、アガロースと混和し、沈降防止用オイルを用いたエマルジョン中で安定にゲル化させます。次にコアの可溶化により、内部が液状で周囲をゲルに覆われたAGM™を作製します 。

操作法の概略

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AGM™を使用した1細胞全ゲノム解析フローの例

AMGで1細胞全ゲノム解析を行うフロー

微生物1細胞をカプセル化してAGM™を作製後、適当な試薬や機器を用いて全ゲノム増殖反応や適切なAGM™の単離、シーケンスライブラリー作製、シーケンシングなどを行います。作製されたAGM™は、限界希釈法やマイクロマニピュレーター等により単離できます。


AGM™作製の自動化の例

AGM™はオンチップバイオテクノロジーズ社製On-chip Droplet Generatorで粒径を均一に自動的に作製できます。


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AGM™の1細胞全ゲノム解析以外での使用例- AGM™内での大腸菌の培養-

AMG内での大腸菌の培養

図A:AGM™内で1細胞から増殖した大腸菌の位相差顕微鏡像、
図B:図Aで示した大腸菌DNAをSYBR Greenで染色し、得られた蛍光染色像を位相差顕微鏡像と重ね合わせた画像。

AGM™試薬キットで大腸菌1細胞を包埋したAGM™を作製した。20 μlのAGM™と1 mlのLB培地を加えた15 mlチューブを用い、37℃で1日静置培養した。 AGM™内で、培養開始時1細胞であった大腸菌の増殖が確認できた(上図)。微生物1細胞の培養でもAGM™の利用が期待できる。


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キット内容

キット内容についてはデータシートをご請求下さい。

データシート(取扱説明書)、アプリケーションノート

データシートおよびアプリケーションノートは下記フォームからお申し込み下さい。

オンラインフォームのご利用にはWeb会員登録が必要です。ご登録の上ログインして下さい。

AMGの文書請求フォーム


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必要試薬・機器など

試薬:
  • SYBR™Green I Nucleic Acid Gel Stain(Thermo Fisher Scientific)
機器:
  • ボルテックスミキサー
  • 遠心機(50 mlチューブ用
  • 蛍光位相差顕微鏡
  • 卓上遠心機
  • 電動ピペット
  • マイクロピペット
  • ドライバス(1.5 mlと50 mlチューブ用)
  • 電子天秤
滅菌済み器具など:
  • 50 ml遠沈管
  • 1.5 mlマイクロチューブ
  • フィルタ付きピペットチップ
  • 10 mlディスポーザブルピペット
  • フィルタ付きワイドボアチップ(200 μl, #2069G、1,000 μl, #2079G
  • グローブ
  • DNA Away(#7010
その他の器具:
  • フックスローゼンタールタイプのセルカウンタープレート(1枚のみ付属しています)

価格

[在庫・価格 :2024年05月09日 00時00分現在]

※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。
詳細 商品名
  • 商品コード
  • メーカー
  • 包装
  • 価格
  • 在庫
  • 法規制等
納期 文献数
AGM(アガロースゲル・マイクロカプセル)試薬キット
2~3週間 ※ 表示されている納期は弊社に在庫がなく、取り寄せた場合の目安納期となります。 0
説明文
3回反応分。AGMTM(アガロースゲル・マイクロカプセル)は,アガロースゲルのシェルによる,1細胞の包埋技術。微生物1細胞を微細なAGMTMに簡便に包埋することができる。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できる。
法規制等
保存条件 室温,4℃,凍結禁止 法規備考
掲載カタログ

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※ 表示されている納期は弊社に在庫が無く、取り寄せた場合の納期目安となります。

AGM(アガロースゲル・マイクロカプセル)試薬キット

文献数: 0

説明文 3回反応分。AGMTM(アガロースゲル・マイクロカプセル)は,アガロースゲルのシェルによる,1細胞の包埋技術。微生物1細胞を微細なAGMTMに簡便に包埋することができる。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率の大幅な向上が期待できる。
法規制等
保存条件 室温,4℃,凍結禁止 法規備考
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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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