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RNA-Seq(RNAシークエンス/トランスクリプトーム)解析受託サービス

掲載日情報:2023/02/17 現在Webページ番号:64720

RNA-Seqは、mRNAやlincRNAの配列を網羅的にシークエンスし、遺伝子発現解析を行います。センス、アンチセンス鎖を区別しての解析が可能です。
また、エクソンレベルでの発現差解析、融合遺伝子の検出、mRNAからの変異解析など豊富な情報が得られます。FFPE由来の分解した試料や微量の試料など、様々な試料に対応しています。
本製品は研究用です。研究用以外には使用できません。


特長

  • 専門のスタッフがイルミナ社シークエンサーを用いて、SOP(標準作業手順書)に準じて国内ラボで実験解析を行います。
  • 衛生検査所の資格を有し、製薬企業をはじめ大学などの研究機関からのご依頼も多数あり、臨床研究の実績もあります。
  • 1 ng以下の微量試料、FFPE試料など、試料の性状に沿って実験計画から解析までサポートします。

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RNA-Seq(RNAシークエンス)とは

RNA-Seq(RNAシークエンス)は、次世代シークエンサーを用いてメッセンジャーRNA(mRNA)やlincRNA、non-coding RNAなどの配列情報を網羅的に読み取ります。その得られた配列情報から、どのRNAが発現しているか数値(発現値)に変換することで遺伝子発現を調べる解析手法です。

  • ストランド特異的に解析するので、ゲノムDNAの二本鎖のどちらからmRNAが生成されたのかを知ることが出来ます。すなわち、センス鎖、アンチセンス鎖を区別した解析が可能です。

  • マイクロアレイでは解析できない、エクソンレベルでの発現差解析、融合遺伝子の検出、mRNAからの変異解析など豊富な情報が得られます。

  • 細胞や組織由来のRNAのほか、分解が進んだFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)由来RNA、血清・血漿由来RNA、エクソソーム由来RNA、ソーティング細胞由来RNA、RIP-Assay後のRNAなど、様々な試料に対応しています。

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解析の目的に応じたライブラリー調製


解析するRNA概要
mRNA
(PolyA mRNA精製)
PolyAを持つRNA(ヒト、マウスなどの真核生物のmRNA)を対象としたRNA-Seqを行います。
  • Oligo dTビーズを用いて、PolyAの付いたRNAを精製し、ランダムプライマーでcDNA合成してシークエンスライブラリーを調製するので、mRNAに特化した解析が可能です。

  • ただし、分解が進んでいないRNAであることが重要になります。分解が進んでいると、PolyAの付いたRNAも断片化されてしまうので、PolyAの付いたRNAを精製するのが困難になるためです。

  • RNAの分解が進んでいる場合は、rRNA除去をする方法をおすすめします。

  • また、cfRNA(セルフリーRNA)の解析がメインの場合(血漿・血清・培養上清・エクソソームなどから抽出したRNAで解析する場合)も、rRNA除去をする方法をおすすめします。
total RNA
(rRNA除去)
total RNAを対象としたRNA-Seqを行います。
  • 対応生物種は、ヒト、マウス、ラットまたはバクテリアです。

  • total RNAにはrRNA、tRNA、mRNA、non-cording RNA、cfRNAなど様々なRNAが含まれますが、細胞由来のtotal RNAに最も大量に含まれるrRNA(リボソームRNA。約8割含まれるといわれる)を除去し、rRNAを除いたRNAを解析する方法です。

  • rRNAの除去には、rRNAの配列に相補的な配列を持つプローブを用いて除去します。

  • ヒト、マウス、ラットまたはバクテリアに対応したrRNA除去試薬を使用するので、その他の生物種では、除去効率が低くなります。

  • また、血漿・血清・培養上清・エクソソームなどから抽出したRNAを用いて、cfRNA(セルフリーRNA)の解析を目的とする場合も、この方法をおすすめします。
FFPE由来total RNA FFPE由来の分解が進んだRNAに対応したRNA-Seqを行います。
  • 対応生物種は、ヒト、マウス、ラットです。rRNAを除いたRNAを解析する方法です。

  • rRNAの除去には、rRNAの配列に相補的な配列を持つプローブを用いて除去しますが、分解が進んだFFPE由来のRNAでも実施可能です。

  • ただし、DV200が30%以下の試料では解析が困難です。

  • FFPEの作製には、中性緩衝性ホルマリンを使用すること、ブロックから薄切後、時間を空けずにRNA抽出することをおすすめします。
微量total RNA セルソーターでソーティングした試料、磁気ビーズで分離した試料、受精卵、胚などの微量試料、10 pg~1 ng程度のRNAに対応したRNA-Seqを行います。
  • rRNAを除いたRNAを解析する方法で実施します。

  • 分解が進んだRNAでも実施可能ですが、高度に分解が進んでいる場合は解析が困難になります。

  • 1~500 cellsの場合、RNA抽出をせずに、細胞を溶解してダイレクトにライブラリ調製をする方法もありますが、酵素反応を阻害するバッファーの混入があると、ゲノムDNAを除去しきれず、RNAの解析が困難になります。
グロビンを多く含む試料
(全血など)
total RNA中のrRNAならびにグロビンmRNAを除去し、RNAを解析する方法です。
  • 血液試料をグロビンmRNAを除去をせずにRNA-Seqを実施した場合、血液中に大量に含まれる赤血球由来のグロビンmRNAが含まれるため、シークエンスデータの約1/4程度がグロビン遺伝子ファミリーに割り当てられる傾向があります。このため、グロビンmRNAを除去することをおすすめします。

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サービス概要


1. 試料のクオリティチェック
2. シークエンスライブラリー調製 
3. シークエンス
4. データ解析
  1. 試料のクオリティチェック(QC)を行います。

  2. 試料の種類、分解度合い、解析の目的に応じたライブラリー調製キットを使用し、total RNAまたはmRNAからcDNA合成後、シークエンスアダプターを付加したシークエンスライブラリーを調製します。
    ライブラリー調製キット(Library Kit)は下記のものを取り扱っております。ご希望のキットがありましたらご相談下さい。

 前処理試薬

  • QIAseq FastSelect-rRNA HMR Kit(QIAGEN社)
  • QIAseq FastSelect-Globin Kit(QIAGEN社)
  • QIAseq FastSelect-rRNA / Globin Kit(QIAGEN社)
  • NEBNext Poly(A) mRNA Magnetic Isolation Module(NEB社)
  • NEBNext rRNA Depletion Kit(NEB社)
  • TruSeq Stranded total RNA Ribo-Zero H/M/R(illumina社)
  • TruSeq Stranded total RNA Ribo-Zero H/M/R Gold(illumina社)
  • TruSeq Stranded total RNA Ribo-Zero Globin(illumina社)

 ライブラリー調製試薬

  • NEBNext UltraⅡ Directional RNA Library prep for Illumina(NEB社)
  • SMART-Seq Stranded Kit(Clontech)
  • TruSeq Stranded mRNA(illumina社)
  1. 調製したシークエンスライブラリーはQC後、illumina社の次世代シークエンサー(NextSeq 500、NovaSeq 6000、Hiseq Xなど)でシークエンスします。

  2. シークエンス後のデータは、リファレンスゲノムにアライメント(マッピング)し、発現量を定量化(正規化)し、アノテーション情報を含むExcel形式のファイルで納品します。なお、デフォルトでは、TPMで定量化します。その後、Fold Change(およびt検定)による発現変動遺伝子抽出、階層的クラスタリング、主成分分析(PCA)などを行います。
    ご希望に応じて、GO解析、パスウェイ(Pathway)解析、融合遺伝子の検出、スプライシングバリアントの検出、転写産物単位での発現差解析などの解析を実施します。
  • GO解析
    抽出した遺伝子リストについてGO解析で特徴的なGO Termを抽出します。複数ある遺伝子の特徴を客観的につかむことが出来ます。

  • Pathway解析
    Wikipathwaysに登録されたPathway上に、解析で得た遺伝子を発現情報(UP/DOWN)で色分けし、Pathway画像を作成します。さらに変動した遺伝子を有意に多く含むPathwayを絞り込むことができます。

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データ解析

データ解析のフロー
  1. リードの品質の評価を行います。生のリードデータから、アダプター配列やクオリティの悪い塩基をトリミング(除去)を行います。
  2. リファレンスゲノムへのアライメント(マッピング)を行います。全リード数の集計、およびアライメント(マッピング)した全リード数、染色体別リード数を集計します。
  3. 試料間のリードカウントを補正するために正規化(TMM、TPMなど)を行います。
  4. 階層的クラスタリングと主成分分析(PCA)を行います(6解析以上の場合)。
  5. ご指定の比較に沿って、変動する遺伝子を抽出します。
  6. 発現変動遺伝子についてGO解析で特徴的なGO Termを抽出します。
  7. 得られた全遺伝子をPathway上にマッピングし、Pathway画像を作成します。発現変動遺伝子を有意に多く含むPathwayを絞り込むことが出来ます。
  8. 融合遺伝子の検出を行います。
  9. 新規スプライス部位の検出を行います。
  10. エクソンレベル、スプライシングレベルの発現差解析などを行います。

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納品物

  • original_fastq(FASTQ生データ)
  • trimmed_fastq(トリミング済みFASTQ)
  • bam(アライメントデータ)
  • 試料QC結果
  • データQC結果(FastQC、MultiQC)
  • データ解析結果(正規化、変動遺伝子抽出、GO解析、Pathway解析)

USBメモリなどの記憶媒体もしくはクラウド経由で納品します。

正規化データ

正規化データ(エクセル)

GO解析結果

GO解析結果(エクセル)

Pathway解析結果

Pathway解析結果

ストランドを考慮した発現解析

ストランドを考慮した発現解析


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納期

試料QC通過後、2か月程度。
(データ解析を含む場合は2.5か月程度)


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お送りいただく試料について(RNA-Seqサービス)

RNA量OD260/280RIN値送付液量DV200
total RNA100 ng1.5 以上7以上10 μl以上
FFPE由来
total RNA
500 ng以上10 μl以上50以上
微量
total RNA
10 pg ~10 ng10 μl以上
細胞数備考
微量細胞1 ~ 500 cells事前にサンプリングの方法についてお打ち合わせが必要です。必ずあらかじめご相談下さい。

ポイント

  • 有機溶媒が混入していない、カラム精製をしたtotal RNAをご送付下さい。
  • RNAはDNase処理を行い、DNAのコンタミネーションがない状態の試料をご送付下さい。
  • total RNAはNuclease-free waterに溶解して下さい。

ご注意

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低価格RNA-Seqサービス

試料の量と品質が基準を十分に満たしている場合の、コストパフォーマンスを重視したプランです。

特長(低価格RNA-Seqサービス)

  • 定型のサービスとすることで、コストを抑えて承ります。
  • 分解のないtotal RNA 1 μgから受け入れます。

一部作業を提携企業で行います。このためレポートの一部が英語となります。
実験内容に関するご質問について、お答えに時間がかかることがあります。
試料要件を十分に満たしていない場合は、データの保証をいたしかねます。


お送りいただく試料について(低価格RNA-Seqサービス)

RNA量RIN値rRNA ratio
total RNA1 μg7以上1.0以上

ポイント

  • 有機溶媒が混入していない、カラム精製をしたtotal RNAをご送付下さい。
  • RNAはDNase処理を行い、DNAのコンタミネーションがない状態の試料をご送付下さい。
  • total RNAはNuclease-free waterに溶解して下さい。

ご注意

  • 試料量が上記に満たない場合は、データの保証はいたしかねます。
  • 微量試料に対応したプランのご用意もあります。お問い合わせ下さい。
  • 組織、細胞、FFPEスライドなどからご依頼いただく場合は、DNA / RNA抽出の受託サービスのページをご確認いただくか、お問い合わせ下さい。
  • FFPE由来ではない分解試料は、解析が難しい場合があります。
  • 送付方法は「サンプル送付方法」をご確認下さい。

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ご注文方法/価格

詳細は当社受託・特注品担当(下記参照)までお問い合わせ下さい。


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DNAチップ研究所の次世代シークエンス解析受託サービス

詳細は各サービス名をクリックして下さい。

解析受託サービス 解析内容
ChIP-Seq解析 転写因子やその他のタンパク質が相互作用するDNAの特定部位を検出し、DNA-タンパク質間の相互作用を解明。
DNAメチレーション解析 メチル化DNAに特異的に結合するタンパク質、抗体を用いてメチル化DNAを濃縮し、回収されたDNAをシークエンスする。
RNA-Seq解析 RNA-Seq法により、mRNAやlincRNAの配列をシークエンスし、発現変動のある遺伝子を同定。
Small RNA-Seq解析 miRNAやスプライシングに関わるとされるsnRNAなどのsmall RNAを次世代シークエンサーにより網羅的に解析。
エクソーム解析 エクソン領域のみを濃縮して解析することにより、効率的にエクソン上の変異 (SNV (SNP)/InDel) を検出。
Cancer Panel解析 がん遺伝子のエクソン領域およびホットスポット領域をPCR増幅し、遺伝子変異を検出。

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