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IR / MAR遺伝子増幅法DNA試薬

掲載日情報:2012/02/01 現在Webページ番号:5684

哺乳動物細胞を宿主としたタンパク質発現系は、適切な立体構造や翻訳後修飾を必要とするようなタンパク質生産の目的で利用されています。しかしながら、他の発現系と比べて、哺乳動物発現系の生産性は決して高いものではありません。そのため高いタンパク質の生産性が要求される場合では、遺伝子増幅法による発現細胞の構築が行われています。遺伝子増幅法で構築した発現細胞では、多コピーに増幅された目的遺伝子が染色体上に導入されます。
IR / MAR遺伝子増幅法は、癌細胞株で見られる遺伝子増幅メカニズムの研究過程において発見された新しい原理に基づく遺伝子増幅技術です。哺乳動物複製開始領域(IR)と核マトリックス結合領域(MAR)を持つプラスミドは、細胞内で効率よく遺伝子増幅を起こします。従って、本品(IR / MAR配列を持つDNA)と共に発現ベクターを適当な宿主細胞株にトランスフェクションすることにより、遺伝子増幅された発現株を作製することができます。トランスフェクション後は通常の薬剤選抜により、安定発現株を取得することができます。

DNA試薬の構造

DNA試薬の構造

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操作法概略

1. 発現ベクターの準備
目的タンパク質の発現ベクターをご準備下さい。発現ベクターには任意の市販製品をお使いいただけます。発現ベクターは適当な制限酵素で直鎖化したのち精製して下さい。
2. トランスフェクション
トランスフェクション前日に、任意の宿主細胞を6ウェルプレートに播種して下さい。
市販のリポフェクション試薬のプロトコールに従い、直鎖化した発現ベクター1.0~2.0μgと本DNA試薬1.0~2.0μgを混和し、70~80%コンフルエントの宿主細胞に共導入して下さい。宿主細胞の播種密度、トランスフェクションの方法や効率などについては、別途ご検討の上、至適化を行って下さい。
対照として、本DNA試薬を含まないトランスフェクションを行うことにより、IR / MAR遺伝子増幅法の効果を判定することができます。
3. 薬剤選抜
トランスフェクションの翌日~翌々日に10 cmディッシュに継代し、発現ベクターの選択マーカーとBlasticidin Sによるダブルセレクションを開始して下さい。各薬剤の有効濃度は、あらかじめ宿主細胞ごとに決定しておいて下さい。
選抜開始の数日後から、ブラストサイジンS濃度を5~20倍程度高濃度にすることにより、より多コピーに遺伝子増幅したクローンを選抜することができます。通常、1ヵ月ほどの薬剤選抜により、安定発現株を取得することができます。
4. 高発現株の単離
得られた安定発現株は、限界希釈などの方法でクローニングすることにより、高発現株(モノクローン)を単離することができます。
高発現株のスクリーニングは、目的遺伝子のコピー数やmRNA発現量を定量PCRで測定するなどの方法で行うことができます。

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実施例

1. 発現細胞株の構築例

6ウェルプレートに播種しサブコンフルエントに生育したHEK293細胞に、直鎖化した発現ベクター(Neomycin耐性)と本DNA試薬を2.0μgずつ混和したDNA液を調製しトランスフェクションを行った。
トランスフェクションには、市販のリポフェクション試薬を用いた。
トランスフェクションの翌日にウェルから細胞を回収し、10 cmディシュに播種した。培地はNeomycin(0.5 mg/ml)とBlasticidin S(10μg/ml)を含むDMEM+10%FBSを用いた。
およそ4~7日ごとに継代を繰り返し、安定発現株を取得した。なお、2回目の継代からは、Blasticidin Sの添加濃度を100μg/mlとした。
発現細胞株の構築フロー

2. RealTime-PCRによる高発現株のスクリーニング例

CHO株を宿主として作製した安定発現株から、限界希釈法により12クローンを単離した。
各クローンの細胞ペレットからmRNAを回収し、その相対発現量をRealTime-PCRにより定量した。内部標準には、マウスβ-Actin遺伝子を用いた。
各クローンについて、比較Ct法で導入遺伝子の相対発現量を算出したところ、低発現クローンの235倍の発現量を示す高発現クローンを取得することができた。

遺伝子増幅クローンのmRNA相対発現量のスクリーニング

遺伝子増幅クローンのmRNA相対発現量のスクリーニング
導入遺伝子のmRNA発現をRealTime-PCRで定量したときの増幅曲線を示した。


IR / MAR法で構築した発現細胞株の蛍光顕微鏡写真

IR / MAR法で構築した発現細胞株の蛍光顕微鏡写真
CHO-DG44細胞に本法によりプラスミド配列を導入し、FISHにより確認をした。赤色:宿主染色体、緑色:プラスミド配列

参考文献

1. Shimizu, N. et al., Cancer Res., 61, 6987~6990 (2001).
2. Shimizu, N. et al., Cancer Res., 63, 5281~5290 (2003).
3. Shimizu, N. et al., Exp. Cell Res., 302 (2), 233~243 (2005).
4. Shimizu, N. et al., Nucleic Acids Res., 33 (19), 6296~6307 (2005).
5. Hashidume, T. et al., J. Cell Biochem., 101, 552~565 (2007).
本記事中の画像はすべて、清水典明教授(広島大学大学院生物圏科学研究科)ご提供。上記の参考文献3.より引用。

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ライセンス条項

本製品並びにIR / MAR遺伝子増幅法技術は、特許3755028号、特許3882042号、特願2011-019563により保護されています。
本製品は、ご購入者の自施設における研究目的のみにご使用いただけます。
本製品の複製、または第三者への譲渡〆配布〆再販はご遠慮下さい。

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