ステムセルキープはガラス化能を高く維持したまま細胞毒性を低く抑えるよう最適化された,霊長類ES / iPS細胞用のガラス化凍結保存液です。
※本製品は研究用です。臨床用途には使用できません。
MEMO
DMSOを含む保存液の問題点について
DMSOは細胞毒性を示すだけでなく,細胞の分化にも影響を与える心配があります。従ってES / iPS細胞の保存にDMSOを使用することは望ましくありません。既存のガラス化凍結保存液であるDAP213は,高濃度のDMSOおよび発癌性が指摘されているアセトアミドを含みます。また高い溶質濃度を有するため,浸透圧による毒性も指摘されています。
また,DAP213の場合は10~30秒以内に保存しなければ解凍後の生存率が大幅に低下しますが,ステムセルキープは1分以内が目安のため操作がしやすくなっています。熟練した技術は必要ありません。MEMO
ガラス化凍結法とは
ガラス化凍結法とは,細胞を液体窒素に直接急速浸漬するなどして水の結晶化を防ぎ,非晶質のガラス状態で凍結する方法です。水の体積膨張がないため,細胞へのダメージが少ないという利点があります。霊長類のES / iPS細胞は,通常の凍結法では解凍後の生存率が非常に低いため,ガラス化凍結法が推奨されています。しかしながら,ガラス化には高い溶質濃度を必要とするため,溶質による細胞毒性が高くなりやすいという問題があり,毒性の低い凍結保存液の登場が待ち望まれていました。
ヒトiPS細胞の凍結保存ヒトiPS細胞を既存のガラス化凍結液(DAP213)および本製品で凍結保存(1週間)し,非凍結群と解凍翌日のコロニー形成率および4日後の細胞数(回復率)を比較した。本製品で凍結した系では明らかに高い保護効果が見られた。
本製品で凍結したヒトiPS細胞の解凍後の未分化マーカーの発現 (A)アルカリホスファターゼ(ALP),(B)OCT-4,(C)SSEA-4,(D)TRA-1-60のいずれも陽性で,未分化状態が維持されていることがわかる。
本製品で凍結したヒトiPS細胞の解凍後の多能性評価解凍後のiPS細胞を未処理プレート上で培養し,胚様体を作製後,通常の培養プレートにて1週間培養した。三胚葉由来のタンパク質が検出された。
※目的の細胞で事前に予備試験を実施して下さい。
※高い生存率を得るためには,細胞を保存液に懸濁した後,直ちにバイアルを液体窒素中へ浸漬する必要があります。事前に十分に準備をしてから操作を開始して下さい。また,解凍時もバイアルにあらかじめ温めた培地を添加して,すぐに溶解させた方が生存率は高まります。
■凍結時
- 液体窒素をクリーンベンチ内に準備する。
- 霊長類ES / iPS細胞を剥離液(0.25%トリプシン/1 mg/mlコラーゲナーゼⅣ/PBS溶液)にてコロニーの状態で剥離する。
※この時60 mmディッシュでコンフルエントの細胞を1~5バイアル程度へ凍結可能。
- 2. で回収した細胞を遠心し,培地を除去する。ここで複数本凍結する場合は氷冷しておき,1本ずつ以下の操作を行う。
- 本製品を200μl加え,よくピペッティングし,ふたをしてなるべく早く(1分以内が目安)バイアルごと液体窒素に浸漬する。
※液が透明なままならガラス化がうまくいっている。
- 液体窒素タンクもしくは-130℃のディープフリーザーで保存する。
■解凍時
- 37℃で温めた培地を準備し,9 mlの培地を入れた遠心管を必要本数用意する。
※解凍は1本ずつ行う。
- 本製品で凍結しておいた細胞のバイアルをデュワー瓶などに入れた液体窒素中でクリーンベンチまで運ぶ。
- 取り出したバイアルのふたをあけ,素早く温めておいた培地を1 ml添加し,ピペッティングして溶解する。
- 1. で用意した9 mlの培地の入った遠心管に 3. の全量を移し,遠心して洗浄する。
- フィーダー細胞上に播種し,培養する。