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オートファジー(Autophagy)特集

掲載日情報:2017/02/01 現在Webページ番号:80712

祝!ノーベル賞 東京工業大栄誉教授 大隅良典先生

2016年10月3日、大隅良典先生(東京工業大学栄誉教授)は「オートファジーのメカニズムの発見」により、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。
長きにわたっての研究の偉大なご功績が認められてのご受賞を心よりお祝い申し上げます。

各国の著名なオートファジー研究者からもお祝いの言葉が寄せられています。

フナコシ株式会社では、オートファジーをはじめとするライフサイエンス研究のお役に立つ、試薬・機器消耗品・受託サービスを研究者の皆様にご提供させていただきますので、これからもどうぞ弊社を宜しくお願いいたします。


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ノーベル賞を受賞された大隅良典先生の愛弟子である
水島 昇 教授 (東京大学)のインタビュー

ノーベル賞を受賞された大隅良典先生の愛弟子である 水島 昇 教授(東京大学大学院 医学系研究科 分子生物学分野)へのインタビュー記事をご紹介します。

本記事は、Novus Biologicals社の英語コンテンツを和訳したものです。

水島 昇教授

水島 昇教授は、東京大学大学院 医学系研究科 分子生物学分野で研究室を構え、オートファジーやリソソーム、および細胞内タンパク質/オルガネラの分解機構に関する研究をされています。
現在、日本生化学会会長を務められており、2015年度の上原賞を受賞され、また2013年にはトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞し、ノーベル生理学・医学賞の有力候補に選出されました。
水島教授は、東京医科歯科大学にて分子免疫学の研究を行い博士号を取得された後に、基礎生物学研究所の大隅 良典 教授の元で、ポスドクとして哺乳類と酵母のオートファジーに関する研究をされました。その後、東京都医学総合研究所 室長に就任され、マウス遺伝学を用いて哺乳動物におけるオートファジーの分子機構とオートファジーの生理学的役割に関する包括的な研究を開始されました。Atg12修飾システムの発見を含む一連の業績と重要な研究成果によって、オートファジー研究の第一人者としての地位を獲得されました。

基礎生物学で大切なことは、
好奇心を持ち続け、新たな発見を素直に楽しむこと。


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水島 昇 教授のインタビュー

水島 昇 教授のインタビュー(クリックで展開します)

基礎科学に興味を持ったきっかけを教えて下さい。

 中学・高校を通して好きな科目だったのは、洗練されていて論理的な物理学でした。当時、生物学は多くの原理や経路が未発見または未解明だったので、かなり記述的な科目でした。本音を言うと一番苦手な科目でした。にもかかわらず、ヒトの身体ではどんな生物学的なシステムが働いているのだろうということに興味を持ち、医学部へ進みました。
 私が基礎生物科学に興味を持ち始めたのは、大学で分子生物学(例えば遺伝子がタンパク質をコードしているというようなシンプルな原理を学ぶこと)との出会いがきっかけです。それは私が大学入学前に教わった生物現象を説明し、意味付けてくれました。以来、私は基礎科学に対して深い尊敬の念を抱いています。


水島先生はオートファジーに関する多数の重要な発見をされてきました。ご自身で一番満足できた実験または発見はありますか?「なるほど!」と思った瞬間は?

 私にとっては、マウスでの“受精により誘導されるオートファジー”の発見がそれに当たると思います。それは自分が作出したモデルマウスを用いて自身で発見した重要な現象だからです。
 自分の研究室を立ち上げた後、私たちはオートファジーが着床前の初期胚発生に(おそらく栄養供給機能として)不可欠であることを示しました。この機能は従来のノックアウトマウスを使った実験では見落とされていましたが、卵子特異的ノックアウトマウスを使って初めて明らかになりました。
 研究課題に気づき、続いてそれを解決するというプロセスは、非常に楽しいものです。


先生のご研究はオートファジー制御機構の解明に貢献し、この分野を前進させました。先生にとってオートファジーの研究分野で未だ解明されていない、残された重要な課題とは何でしょうか。

オートファゴソーム形成の場所・起源、オートファゴソーム膜の形成機構、および古典的な代謝におけるオートファジーの役割、疾患治療との関係などが残された課題です。


先生が現在解決しようとしている課題と、今後先生のご研究がどういった方向に進むと思われるかについて、もう少し詳しく教えて下さい。

 研究課題に関しては、我々の研究室では現在脊椎動物におけるオートファジーの普遍的な役割や、オートファゴソームとリソソームの融合機構の解明に注目しています。
 また、オートファジーの活性をモニタリングする新たな手法、例えば生きた動物におけるオートファジー活性を測定できるプローブの開発なども行っています。


先生の研究が一般の方々にとっても重要である理由を解説していただけますか。

 基礎生物学の一部として考えると、オートファジーの調節異常は、がんや神経疾患を含むヒトの多様な疾患と関係します。オートファジーの機構を解明することにより、疾患の原因を突き止めたり、治療方法を提供できるようになります。これは既存の生物学研究のほぼ全てに当てはまります。
 私は「知識は力なり」という格言は真実だと思っています。先に述べたことに加え、基礎生物学においては、好奇心を持ち続け、新たな発見を素直に楽しむことが大切だと思います。私は、このことこそを一般の皆さんと共有したいと思います。


オートファジー以外で、先生が現在興味を持たれている研究分野を教えて下さい。

 単なる興味の範囲ですが量子生物学です。生体内の全ての分子は量子力学の法則に従っているので(少なくとも狭い空間の中では)、量子生物学の進歩が生物学の理解に役立つというのは疑う余地がありません。生物学がさらにシンプルに理解できるようになればありがたいと思います。
 宇宙生物学にも興味を引かれています。もし地球外生物を発見でき、これまでの生物学の概念では想像もつかないことが起こっていたらと思うと、わくわくします。地球上で私たちが用いている生物学の原理が、独自のものなのかどうかを知りたいと思います。


なぜ先生は研究するのですか?何がモチベーションとなっているのでしょうか。

 研究を行うことを通して新しい概念や原理を発見するというのが最高に面白いのです。


最後に、もし先生が超能力を1つ手に入れられるとしたらどんな能力が欲しいですか?

 無いです! でももし同じ質問を5年前にされたら、きっと「頭の中に莫大な記憶を保管できる容量が欲しい」と答えていたでしょう。アイデアが浮かんではすぐに消えてしまうということが度々あるのです。その中のいくつかは特に面白く、成功する可能性が高いアイデアなのに(笑)、どんなに思い返そうとしても無理なんです。
 でも忘れるという能力は、平穏な生活を送る上で不可欠だということに気付きました。今では自分の記憶容量に満足しています!(このインタビューでなんと答えたかというのも、きっとすぐに忘れてしまいます・・・)

ありがとうございました!


水島 昇教授


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オートファジー(Autophagy)とは

オートファジー(Autophagy、自食)は、細胞タンパク質および細胞小器官での自己破壊の細胞死プロセスです。分解は、オートファゴソームと呼ばれる二層小胞の形成によって媒介され、その後リソソーム加水分解酵素によってオートファゴソーム中の内容物の溶解が起こります。オートファジーは、酵母モデルにおいて、もともと飢餓における生存のための自己栄養メカニズムとして発見されました。しかし、その後の研究で、がん、代謝および神経変性疾患、心血管/肺疾患老化、運動や感染症などの多くの生理学的/病理学的プロセスにおいてもオートファジーが関与することが明らかにされています。


オートファジー代謝経路と関連因子

オートファジー代謝経路と関連因子

オートファジーは、細胞が細胞内容物をリサイクルするために使用する高度に制御された細胞死プロセスです。哺乳動物におけるオートファジー関連の中心的な(ATG)錯体は、ULK1プロテインキナーゼ、Atg9-WIPI1とVPS34-ベクリンクラスⅢ PI3キナーゼ複合体、およびAtg12とLC3の共役系です。 また、PI(3)結合タンパク質、PI3-ホスファターゼおよびRabタンパク質も、オートファジーに関与しています。


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リポファジー:脂肪滴のオートファジー

脂肪滴(Lipid droplet)とは脂肪細胞で見られる巨大な(数 μm~数十 μm 以上)中性脂質の塊で、トリグリセリドやステロールエステルを主成分にもつ一重膜の構造体です。脂肪滴は細胞内の中性脂質を貯蔵する器官として働くと考えられており、肥満や脂質異常疾患との関連が多く報告されています。また、脂肪細胞のみならずさまざまな種類の細胞で1 μm 以下の小さな脂肪滴が発見され、各分野で研究が盛んに進められています。2009 年のNature に脂肪滴分解の一つのプロセスとしてオートファジーが初めて報告されて以来、オートファジーが制御する脂質代謝はリポファジー(lipophagy)として注目されています。リポファジーの形成および活性化機構は脂肪滴分解による脂質代謝の新たなプロセスとして、脂質異常疾患の予防に有効ではないかと期待されています。

Singh, et al., Nature., 458: 1131-1135.(2009).
脂肪滴ライブセルイメージング色素についてはこちらをご覧下さい。


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オートファジー関連抗体

メーカー略称 製品説明
NOV 抗LC3抗体/オートファジー関連抗体
NOV 抗LC3抗体
NOV Autophagosome(オートファゴソーム)関連抗体
BIS オートファジー関連抗体
GNT アポトーシス・オートファジー・ネクローシス関連抗体
GNT LAP(LC3-associated phagocytosis)関連抗体
STQ オートファジー関連抗体

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オートファジー関連ペプチド・タンパク質

メーカー略称 製品説明
NOV オートファジー誘導ペプチド Tat-Beclin-1-D11/Tat-L11
BOS オートファジー関連タンパク質

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オートファジー関連化合物

メーカー略称 製品説明
FNA リポファジー研究に 脂肪滴を染色する新規蛍光色素 LipiDye®
NOV オートファジー研究用制御・阻害物質
KOM オートファジー研究関連化合物
TCR オートファジー関連化合物
FCS オートファジー研究用低分子化合物
STQ オートファジー関連阻害物質

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オートファジー関連cDNAクローン

メーカー略称 製品説明
ORI オートファゴソーム関連cDNAクローン CellPainter Organelle Marker

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オートファジー検出キット

メーカー略称 製品説明
CAY オートファジー/細胞毒性測定キット

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お問い合わせ先

(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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