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FormuMax社リポソームに関するFAQ

掲載日情報:2017/09/01 現在Webページ番号:80585

FormuMax社リポソームに関するFAQ

■関連製品

Q-1. FormuMax社のリポソームはどのように製造されていますか?
A-1. エタノール水和および押し出し(extrusion)法によって製造されています。脂質混合物は、まずエタノールに溶解し、相転移温度以上で水和溶液(HEPES、10%スクロース溶液あるいは硫酸アンモニウム溶液)に水和させます。リポソームのサイズダウンは、extruderを使用して孔径の異なるポリカーボネート膜を通過させることによって行われます。動的光散乱粒度分布計によって測定された最終的な粒子サイズは約90~120 nmです。硫酸アンモニウムを使用した場合の膜内外の濃度勾配は、8~10倍量の10%スクロースに対する透析(カートリッジ:MWCO 100~300 K)によって調製されます。すべてのリポソーム製品は、フィルター滅菌(0.2μm)した後、クリーンベンチ内で滅菌済みバイアルに充填しています。

代表的な製品の以下の分析結果を公開しています。

・粒子サイズ、半径および多分散性(Brookhaven社ZETAPALSによる)
・ゼータ電位(Brookhaven社ZETAPALSによる)
・pH
・総脂質濃度(Stewart assay)
・トータルおよび遊離型化合物の濃度(UV、蛍光およびHPLC)
・遊離型化合物の濃度(サイズ排除クロマトグラフィーによる遊離化合物の単離および遊離化合物濃度の分析)
・内包率:トータルおよび遊離型化合物から計算されます。

Q-2. リポソームをバイアルから取り出す方法は?
A-2. リポソームをバイアルから取り出す最適な方法は、滅菌した針とシリンジを使用した方法です。この方法では、バイアルのふたを開けずに済むため、バイアルに残ったリポソーム残液の密封状態が保持できます。ふたを開けて、マイクロピペットを使って取り出すこともできますが、クリーンベンチ内などの清浄な環境下で行うことをお勧めします。

Q-3. リポソームを凍結しても大丈夫ですか?
A-3. 化合物を内包していないプレーンのリポソームは、凍結および融解させても問題はなく、粒径も保持されます。脂肪酸鎖が長いほどリポソームは安定です。脂肪酸鎖が短いDPPCリポソーム、DOCPリポソームおよびPOPCリポソームは、注意が必要です。凍結・融解後に粒度分布計を用いて粒径を確認して下さい。

また、化合物充填用のdrug loading battery含有リポソーム(例:硫酸アンモニウムリポソーム)のアンモニウム勾配などが崩壊すると、化合物を内包する能力が失われてしまう可能性があります。既知の化合物よる内包試験を行うことをお勧めします。

Q-4. リポソームを取り扱う際の注意事項は?
A-4. 飽和炭化水素から作製されたリポソームは、非常に安定ですが、以下の点についてご注意下さい。

・有機溶媒(例:クロロホルム、メタノール、エタノール、DMSO、エーテルおよび他の有機溶媒)とは混合しないで下さい。クロロホルムはリポソームを崩壊させます。メタノールおよびエタノールは脂質膜を軟化あるいは分解させてしまいます。ただし、最大10 w/v%までは問題ありません。
・リポソームを溶解する場合以外は、界面活性剤を加えないで下さい。
・化合物を内包(相転移温度以上でインキュベートする必要があります)させる場合以外は、脂質の相転移温度付近または、それ以上の温度でインキュベートしないで下さい。

Q-5. プレーンのリポソームは何に使用できますか?
A-5. 通常、プレーンのリポソームは、in vivo / in vitro研究のためのコントロールとして使用します。その他のアプリケーションへの使用例もあります。例えばある親油性低分子は、高温で2段階のインキュベーション操作によってリポソームに内包させることができます。この時、分子はリポソーム内に内包される代わりに、膜内に取り込まれます。

Q-6. アンモニウムリポソームはどのようなもので、何に使用できますか?
A-6. アンモニウムリポソームは、内部に硫酸アンモニウムを内包したリポソームです。外液の硫酸アンモニウムは、生態適合性のある溶液(例:10%スクロースまたは食塩水)で置換されています。現在、アンモニウムリポソームは、弱塩基性で化合物を効率的に内包するための最適なリポソーム化システムであると考えられています。リポソームと化合物を脂質の相転移温度以上でインキュベートすることによって、あらかじめ形成されていたアンモニウムリポソーム中に化合物を取り込むことができます。

Q-7. どのようなタイプの化合物をアンモニウムリポソームに内包させることができますか?
A-7. アンモニウムリポソームは、弱塩基性で親油性のある低分子を効率的に内包するために使用されます(生理学的な特性によってすべての塩基性化合物が、このように内包されることができるというわけではないことに注意して下さい)。アンモニウムリポソームへ内包することができた化合物の例として、ドキソルビシン、ビンクリスチン、トポテカンなどがあります。これらの化合物は、一般的にpKa値が7~9のアミノ/アミン基を有しており、ある程度の水溶性を示します。最も重要な点は、脱プロトン化された際に親油性であることを示すLog P値(分配係数)が>0を示すことです。

Q-8. PEGylated-リポソームおよびnon-PEGylated-リポソームはどのように使用しますか?
A-8. 化合物をリポソーム内に内包させる利点は、不溶性化合物の可溶化または薬物動態学/薬力学的作用を改善させることです。化合物の可溶性の向上が目的であれば、PEGylatedリポソームを用いる必要はありません。飽和PCまたは不飽和PCから作製されたnon-PEGylatedリポソーム(例えばDOPCやPOPC)で満足な結果を得ることができたかどうか調べることができます。しかし、内包した化合物のPK / PDを増加させることは容易ではなく、化合物がリポソーム中にどれくらい保持されているかによります。粒径サイズにより異なりますが、PEGylatedリポソームの血中半減期(t1/2)は20~30時間(げっ歯類)、non-PEGylatedリポソームのt1/2は8~15時間とされています。PEGylatedリポソームおよびnon- PEGylatedリポソームをどのように使い分けるかは、化合物が生体の血液中に、どれくらい長く留まっているかによります。化合物が生体の血行と比較して、より早くリポソームから溶出するのであれば、non-PEGylatedリポソームで十分です。例えば、PEGylated DSPCリポソームでカプセル化された化合物Aを投与した場合、t1/2は5時間であったとします。この場合、non-PEGlyated DSPCリポソームでも同様のt1/2を得ることができます。反対に、リポソーム中で非常に良く保持される化合物(例:塩酸ドキソルビシン:げっ歯類でのt1/2は20~30時間)の場合、最適なPK / PDを達成するためにPEGylatedリポソームを使用する必要があります。

Q-9. 適切な脂肪酸鎖長のリポソームを選択する方法は?
A-9. 脂肪酸鎖長を選択するポイントはいくつかあります。脂質二重膜の主な機能は、化合物透過性バリアーとしての働きです。脂質鎖が長いほど脂質二重膜は強固になります。最も一般的に用いられているリポソームはDSPCまたはHSPCベースのリポソームです。しかし、化合物の保持率が不足している場合、より長い脂質鎖のリポソームを検討する必要があります。FormuMax社では、PEGylated、non-PEGylated, 20:0 PC, 22:0 PCおよび24:0 PCを取り扱っています。

Q-10. なぜ、DSPCおよびHSPCリポソームが最もよく使用されるのですか?
A-10. DSPCやHSPCを選択する主な理由は、相転移温度(Tm=およそ55 ℃)が最も取り扱いやすいためです。リポソーム膜は、生体内に注射された際、ゲル相の状態(脂質鎖が密集して、化合物リリースが遅い安定な状態)で生体内をめぐる必要があります。一方、リポソームは、脂質のTm値より5~10 ℃高い温度で作製(水和およびextrusion)する必要があります。DSPCリポソームでは問題ありませんが、いくつかの機器は高温で使用することができないため、DSPCリポソームより長い脂肪酸鎖のリポソームを取扱うことは、実験操作的に困難です。PCリポソームを作成するためのTm値および水和/extrusionの温度については下表をご参照下さい。

Lipids Tm (deg C) Hydration/Extrusion Temperature (deg C)
DPPC 41 46-51
DSPC/HSPC 55/54 60-65
20:0PC 66 71-76
22:0PC 75 80-85
24:0PC 80 85-90

Q-11. HSPCとDSPCの違いは何ですか?
A-11. HSPCは、完全に水素化された大豆レシチンのことです。HSPCは、主に18:0 PCを含みます(約85%がDSPCで、15%がDPPC)。Tm値は約54℃です。

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(テクニカルサポート 試薬担当)

reagent@funakoshi.co.jp

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