インキュベーター内やシェーカー上で測定できる小型吸光マイクロプレートリーダー（Cerillo社）

Vol.88　 インキュベーター内やシェーカー上で測定できる小型吸光マイクロプレートリーダー

Cerillo Inc. は、小型のポータブル吸光マイクロプレートリーダー「Stratus」を販売するアメリカバージニア大学発のベンチャー企業です。 今回は、CEO の Eric Mayton 氏にお話を伺いました。

2010 年代初め、バージニア大学の学生がStratus のアイデア を最初に思い付きました。その学生は嚢胞性線維症に関連する細菌の様々な変異体の研究をしていましたが、細菌の増殖曲線を得るために、インキュベーターとプレートリーダーの間を何度も、長期間にわたって行き来する必要がありました。そのような測定の負担を軽減するために、人が頻繁に操作しなくても、インキュベーター内で継続的にデータを収集できる小型のプレートリーダーを考えました。

Stratus は微生物の増殖曲線作成のために独自の設計がされています。
従来のプレートリーダーには、光学密度（OD）の測定に複雑な可動部品が含まれていましたが、Cerillo 社の特許技術により、可動部品が無く、丈夫なプレートリーダーを実現しました。手のひらに乗るほど小さく、様々な環境で効果的かつ効率的に増殖曲線を取得できるよう設計されています。 また積み重ねても使用でき、複数の Stratus を同時に設置して複数の実験結果を取得することも可能です。
※シェーカー上で振とうするには別途、アダプター（#R2APT）が必要です。

社名「Cerillo」の由来は、スペイン語で「マッチ棒」を意味する言葉です。私たちは科学研究の可能性に火をつける最初の“火付け役”でありたいと考えています。私たちの目標は、研究室での障壁を取り除き、研究をより簡単かつ効果的にするためのツールを提供することです。“研究者の可能性を照らす存在でありたい”という願いを込めています。
製品名の Stratus は「成層圏」を意味します。従来のツールでは不可能だったことを可能にし、お客様の研究を「次のレベル」へと引き上げたいという思いから名付けました。

Stratus を使えば、これまでできなかった「多検体・長時間・ 高頻度」の測定が可能になります。 フットプリントが小さいため、スペースに限りがある場所でも設置できます。 加熱、振とう、嫌気状態に耐えられるため、嫌気性チャンバー内、シェーカー上、加熱・加湿された CO₂ インキュベーター内など、幅広い環境で使用できます。 ヒト以外の腸内細菌研究、廃水分析、フードチェーンを通じたマイクロバイオームがヒトの健康に与える影響の研究など、様々な研究テーマで利用されています。

Stratus を用いて LB 培地と M9 培地における E. coli K-12 の増殖を比較した。

M9 培地と比較して、LB 培地で培養した E. coli はより高い増殖効率を示した。 また、5 時間経過時では、LB 培地のグルコースが枯渇し、ダイオキシックシフト （diauxic shift）が起こったため、LB 培地での E. coli の増殖がゆるやかになった。